中部地方が発祥といわれる喫茶店のモーニングサービス。「発祥の地」をうたう地域では、その文化を街おこしに生かそうという取り組みが盛んだ。定番の「トーストにゆで卵」に加え、食べ放題や健康に気を使った食事などメニューが多彩に変化。ゆったり過ごせる独自文化は、高齢化社会を先取りした動きともいえる。なぜ、モーニング文化が根付いたのか。
「60分食べ放題制」。愛知県一宮市の喫茶店「Fungo(フンゴ)」の店内に入ると、カウンターに並んだ大量の料理に圧倒される。空揚げ、焼きそば、納豆、ゆで卵、サラダバー……。飲み放題付きで価格は699円。土日には家族連れやカップルで約50の席はほぼ埋まる。中には、北海道や広島など遠方から訪れる客も。初来店の男性会社員(43)は「満腹になった」と笑顔で話す。
■「博覧会」を開催
一宮市には700以上の喫茶店があり、同市がモーニング発祥の地、というのが地元の定説だ。商店主らでつくる「一宮モーニング探検隊」隊長の森幹昇さん(51)によると、1956年ごろには市内でモーニングが提供されていたという。当時は繊維の街として繁盛しており、商談などで喫茶店を利用した地元の機屋(はたや)に朝からサービスとしてピーナツなどが出されたのが始まりとされる。
愛知県のモーニングに関する著書があるフードライターの永谷正樹さんは「戦国時代の『茶をたしなむ習慣』が、現代の愛知の喫茶文化を育てたのかもしれない」と分析。「無料で朝食が食べられる良さが評判を呼び、家族でモーニングを食べる習慣が広まったのでは」と指摘する。
地元ではモーニング文化の発信を展開している。地元商工会議所が中心となり、任意団体「一宮モーニング協議会」(会長・則竹伸也一宮商工会議所副会頭)を設立。一堂にモーニングを提供する「モーニング博覧会」を2007年から開催している。ハヤシライスのリゾットや五目チラシなどメニューは様々。加盟店は当初の73から105に増え、客数の増加を感じる店も多いという。森さんは「モーニング文化を全国に発信し、一宮の魅力を高めたい」と意気込む。
一方、豊橋市をモーニングの発祥地とする説もあり、現在では市内の喫茶店数は約300に上る。任意団体「東三河外食産業振興会」の担当者によると、市内に以前あった老舗喫茶店の従業員が「50年代前半にはモーニングを提供していた」と話していたのが根拠という。
市の高齢化率が約23%となり、高齢者に優しいメニューも登場。同市の「珈琲家 参八通り」の看板メニューは「おかゆモーニング」だ。ドリンク(コーヒーは430円)に120円プラスすれば、おかゆ1杯にシャケ、梅、昆布、半熟卵が出てくる。店主の山田里枝さん(64)は「高齢者でも食べやすいように」という。
永谷正樹、フンゴ、発祥の地、モーニング、メニュー、モーニングサービス、コメダ珈琲店
中部地方が発祥といわれる喫茶店のモーニングサービス。「発祥の地」をうたう地域では、その文化を街おこしに生かそうという取り組みが盛んだ。定番の「トーストにゆで卵」に加え、食べ放題や健康に気を使った食事…続き (6/19)
織田信長が今川義元を破ったことで有名な「桶狭間の戦い」。その主戦場を巡り、愛知県豊明市と名古屋市緑区の間で論争が続いている。戦国時代の歴史の舞台となってから450年余り。定説はなく、我が町が「本家」…続き (6/6)
各種サービスの説明をご覧ください。