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 戦況が悪化した1944(昭和19)年、都市部の児童を戦災から守るために地方へ避難させた「学童疎開」が始まり、今年で70年になるのを機に、関西の疎開経験者らが集まり、思い出を語り合う催し「記憶を再現し 次代へ語り継ぐ」が21日、大阪市中央区で開かれる。主催者は「体験を語れる人も年々減っている。若い人たちに参加してもらい、記憶を受け継いでほしい」と話す。

 「大阪の学童疎開」などの著作がある赤塚康雄・元天理大教授(日本近代教育史)によると、国は1944年6月30日に閣議決定した「学童疎開促進要綱」に基づき、少なくとも全国13都市の児童40万人を学校単位で地方に移した。親類を頼って行く「縁故疎開」と合わせた全体の規模はいまだにはっきりしないという。

 催しは、疎開経験者や研究者ら約100人でつくる「国民学校と学童疎開を考える会」の主催。同会の奥村誠一理事長(81)=兵庫県西宮市=は、大阪市西区の国民学校6年だった44年9月に島根県へ疎開。卒業式に出席するため、翌年3月に帰阪したが、同月13日の第1次大阪大空襲に遭い、母らと逃げ惑う中で当時4カ月の妹を亡くした。