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その私刑執行は神の代行? - 『オンリー・ゴッド』 - 1953ColdSummer

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その私刑執行は神の代行? - 『オンリー・ゴッド』


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ンリー・ゴッド
ONLY GOD FORGIVES
2014(2013)/デンマーク/フランス/R15+ 監督/ニコラス・ウィンディング・レフン 出演/ライアン・ゴズリング/クリスティン・スコット・トーマス/ヴィタヤ・パンスリンガム/他 
その復讐は 神への挑戦


 その名前を耳にしただけで、れふんっ、と、くしゃみが出る程度にはレフン映画に対するアレルギーを隠し切れないでいるのだけれども、同時代性という糞のようででもほんのちょっぴりビター・スウィートな特権を享受したいがためにレフン最新作『オンリー・ゴッド』を観るという浅ましさ厚かましさを発揮した私の前に繰り広げられるシンメトリーにフィックスに赤と青の殺戮劇。おやおやおやおや、今回ばかしはアタリを引いたんでないのかい、つて、自分が籤運の無いモブAであることを都合良く度忘れ、構図に小細工を弄すれば「アート映画だ~」なんてパンツ被って両手を上げる人間ばかりじゃねえぞ、まあ片手くらいは上げたって……いいわよ……と、そのまま片手を上げていたら終わったので何事かをば書いてみようと思ってはみるものの、衒学主義に回帰したレフンの何事かを論じてみるは猿が禁断のパンセを紐解くがごときで絶叫したくなるのもまた人情。各位の後塵を拝したまま私はただこうべを垂れるのみである。

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 私刑執行人が刃物を振り回して断罪を繰り返す映画に何を愚痴々々と。レフンとゴズリングがふたたびタッグを組んだのだ自己生殖文章なんざ止して貴様もパレードに参加しろ。てな物言いも分からなくもなく、マザコン小悪党に扮したゴズリングを称揚するにやぶさかではないのだけれども、問題は神になぞらえられ処刑を繰り返す主体がスカしたゴズっちゃんではなく微妙にぶさいくな東洋人のおっちゃんである点で、ここに私は鎧袖一触、映画のセンス・オブ・ワンダーに触れたとまでは言わんずとも扇子でワン公のどたまを引っ叩いたがごとき感銘を受けたる事により、本作のパンフレットによると「裁判官と陪審員と処刑人が三位一体になった」らしい東洋人のおっちゃんに神霊の代理っつうよりは初夏の小萌を見てしまい、女であろうがチンコロ野郎であろうが五軸機械のように正確に切株に変えてゆくそのイナセな背中にヨッ、ブルース・リャン似のイイ男! と歓声を上げたくなってしまう。神なき世につきし贖いは人と環境が構築する。このおっさんが登場した時点で罪も咎人も「作劇」されてしまっていた。

 だいたいにして私どもが嘱望しているのは、例えば16歳の売春婦が殺められその父親に復讐の機会が与えられ、でも父親も悪い、と腕一本持っていかれる展開に生じる超越善悪の快感、言語化し難い超人性を如何様になにがしとコジツケられるかなる奇想の紐なしバンジージャンプであり、またそれを見てせせら笑う両面的な愉悦であって、前者のために私刑執行人のおっちゃんチャンは冒頭の事件にて警官から超人への脱皮を果たし、後者のためにゴズリング演じるジュリアンはレフンの暴力性を体現しつつ「マザコン」「毒親持ち」「売人」とノワール的に地に足の着いた記号に自らを織り込める。超越者であるチャンはシステマティックに平等な断罪を敢行し、悪人であるジュリアンは変態性欲の充足にキックボクシング賭博の経営にと気だるく駆けずる。ここで断罪者としての「神」が個人にアウトソーシングされた世界では正義はどこに仮託されているのであろうか? と、もやもやした疑問にひとつの方向性が付与されることになるのだが。

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 処刑を終えるたびにカラオケを歌うチャンの姿は印象深い。何を歌っているかはさっぱり分からなんだのだが、これを人殺しの後の禊であるとか神からの機械を通した託宣であるとか、ついぞに陥ってしまいそうな神学めいた視線を残念なことに自分は持たず、が故に超越者の歌声が響く場の冷めた反応……怪物の前に振る舞い方をすら忘れてしまう一般化された人間たちの姿にどうしても色目を使ってしまう。八九三まみれのこのタイはバンコクに囚われた土着の市井の姿が抽象化されている。アメリカから逃げてきて極道の限りを尽くしているジュリアンたちとのその対比は決してドラスティックなものではなく、搾取と享楽のネオンが簡便に物語るようにてらてらと光っている。

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 そして両腕を差し出すあるアクトにより平等な処断がより踏み締められる。俗物感に泥濘していたこれまでと違って幻想的ですらある光景が、池縁を刃物を振り回して(演舞?)歩いていたチャンの姿を連想させ自然はサタン、サタンは堕天使、裁かれたもの、とアンチクライストな妄想をより膨らませる。かのシーンはポエジーであり映画がワガを「読む」事を許可した瞬間でもある。そうして何かを獲得できたのか、て言われますと別段何も獲得していないっつうか、自分のケツの座りを再確認してわたくしめらは今映画を観ているのだ。バイオレンスなやつを。とか何とか阿呆のような事を思うのみで『オンリー・ゴッド』すなわち「神のみが赦し給う」案件がただひととき見せた読み方に気付くことすら出来ずに今日も神罰に怯えているよ。

 他のレフン作品感想。
 醸成されつつあるは血と暴力と犯罪の匂い 『ドライヴ』 - 1953ColdSummer
 死と殺戮の行脚 『ヴァルハラ・ライジング』 - 1953ColdSummer
 暴力映画が辿り着いたひとつの極北 『ブロンソン』 - 1953ColdSummer



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