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2014-06-19

「刺青(タトゥー)による銭湯・プール拒否は差別か」論、ひそかに過去記事を再紹介させていただきたく。

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うーん、今はてブ内で探したら、残っているのはこれだったよ。

痛いニュース(ノ∀`):【画像】 脳科学者・茂木健一郎貼り紙つくった。全国の温泉公衆浴場関係の方、ご活用ください!」 http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1800204.html

もちっといいのないかな…。

J-CASTの記事となっていた。

タトゥー刺青は入浴お断り」は差別なのか 茂木健一郎氏のツイートが論議呼ぶ:J-CASTニュース http://www.j-cast.com/2014/06/18208021.html @jcast_newsさんから

茂木さんは……ツイッター上で2014年6月17日サッカーW杯を見ているとタトゥー選手は普通にいるとして、こうつぶやいたのだ。

タトゥー刺青は入浴お断り、という不当な差別をしている限り、日本温泉世界遺産登録は無理だね」

つぶやきは800以上もリツイートされ、反論も次々に上がった。これに茂木さんも受けて立ち、「暴力団関係の刺青タトゥーとの線引きが難しいので受け手側の都合上全部NGとなってるのだと思います」との指摘には……


これが話題になったときのぼくの心境。

f:id:gryphon:20140619100024j:image

■疑問「刺青を理由にプールサウナ入店を禁じるのは差別か?」

http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20080207#p4

■「タトゥーがあると差別就職の制約がある」と日刊ゲンダイ

http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20081015/p8

須磨海水浴場、今年から神戸市条例で「入墨露出禁止」。法的、思想的にはOKなの?

http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20110709/p4

橋下徹大阪市長刺青で市職員調査。プールサウナ業界に影響及ぼすか?

http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20120517/p2

■「刺青リスク」記事・・・再び悩む、これらは「差別」か?

http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20130419/p2

刺青禁止がルール銭湯に、刺青伝統マオリ族きたる、のまき。当ブログは準備してお待ちしておりました。

http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20130913/p2

なぜ、おれが書いたときは炎上しねえっ…無名だからだ(完)。


いやまあ、それ一択ではあるんだが、実はこれだけ書いてて、自分は結論が出ないのよ(笑)。烈海王とはちがって「通過してなかった」わ。

 

茂木氏のように「差別だ」と一刀両断で断言もできないし、それを嘲笑批判するほどの断言もできない。非常に法哲学的に微妙な問題だと思うのだが。そういう点では、双方の攻撃的言辞を置いてもらって、このしなびた場所で語ってもらうほうがええんじゃないかいな、ともね。


ただ。

もともと、自分のこの議論の根本は、さらに抽象的に表現すると

「『かざす、見せる』を裁けるか」と話は広がるのである。

憲法には「表現の自由」がありまっしょ。

そしてそれよりさらに「他者危害の原則」がある。国家や法が、人の行動を制限するとき、それは基本的に「その行動が他者権利を侵害するから」という、この原理で説明がつく…というか、それで説明がつくもの以外は制限できない。

ものを盗むのを法が制限するのは、他者財産権を侵害するから。

自動車が時速250キロで公道を走れないのは、他者安全を侵害するから。

人を殴れないのは…以下同じ。


ただ…これも以前からずっと書いているけど、監視カメラや顔認証が問題なのは、「撮る」という行為はいかに他者迷惑に感じていたり、それが実際に(悪)影響を持つとしても、物理的に殴ったり盗んだりするのとはちがって、だれの権利も(一応は)物理的に侵害していないから、それを制限するロジックがむずかしいからだ。もちろん、いろんな議論を展開して制限もそれなりにあるのだけど、ちょっと「建て増し」した感はあるでしょ。(もともと「撮影」というものが19世紀に生まれた新しい概念だものね)


「かざす」とか「見せる」というのも…これは撮影とはちがって古い概念だけれども、「かざしたり見せたりするだけでは、誰も物理的に侵害していない。なぜその行動を制限することが出来るのか?」という問いをばーんとぶつけると、やはり難しい話になるはずですよ。

ここではおなじみですが(数日前にやったばかりだ)、プリンセス・プリンセスDIAMOND」より。

D

好きな服を着てるだけ 悪いことしてないよ

これは、この前は「まちなかでのび太君のコスプレをした人が職務質問」記事で引用した(笑)。

http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140617/p4

結局、このかたも無罪放免。ただ「見せる」だけというのは、コスプレも看板もヘアースタイルも含めて、許容されるのが原則なのだ。


しかし、例外は…

まず「露出」だな(笑)。あと、ヌードポスターを職場に貼るとかは、民事でも環境型セクハラだろうし、ものによってはわいせつ物陳列?になるのかな。

もともと、性の問題というのは自由主義や民主主義の番外地、であるという面も大きい(これも何度も書いているが、近親婚を禁止するのも、性の問題が自由主義的ロジックだけでは説明できないことの現われではないか、と思っている)。

性の問題をおくと、あとは著作権ね。コスプレのび太君もやばいのか(笑)。それは「かざすのは自由、見せるだけなら自由」には当てはまらない・・・。


どれも制限は、変化球にすぎるっちゃすぎる。

刺青拒否問題は「見せる・掲げる」ということは裁けるのか?という大きな問題とかかわる。

で、これは以前の記事を再掲載する。『「見せる、掲げる」だけならそれは違法視できないのではないか』という話なら、アテツケや誘導ではなく、どう考えても自然にこの大きな問題と連動するとしか思えない。

あと「どこかの文化ではアウトローや悪の象徴かもしれないけど、別の文化では神聖なものなんだよ。こっちのほうが伝統あるし」という部分では、まさに瓜二つだ。

 

【再掲載】(刺青問題は)「卍&裏卍(仏教)とハーケンクロイツ(ナチス)」の関係になぞらえられるんとちゃう?

f:id:gryphon:20130913061916j:image:right

 

虚構新聞シミュレーション

 

日本(orチベット)の仏教・拳法指導者で、ドイツ(orイスラエル)で6日まで開かれたナントカの講習会講師を務めた女性が、民間施設で裏卍の紋章を理由に入館を断られていたことが11日、分かった。関係者は「裏卍は仏教および拳法の尊厳の象徴であり、大変残念」…(略)支配人は「卍にもいろいろな背景があることは理解するが、一般客はなかなか分からない。例外を認めると、これまでの信頼を裏切ることになる」と説明している。

 

 


もうひとつ、「実際に見てみれば、刺青している人に反社会的組織の関係者が多いというのは、統計的、実際的に事実でしょ?」「いや、それが全部とは限らないし。その属性で区切るのはおかしいし」という議論があるけど、それは過去記事に。これも難しいはなしだし、「ビッグデータ」の分析で、「根拠はわからないがとにかく相関がある」というものがぼろぼろ発見できるこんな時代では、いろんなところに波及していく。

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