平均なんて、ただの数字。平均的なひとなんていない。
ビジネスでは「平均」の概念が重要です。
一日の平均売上高、ひと月の平均売上高、平均在庫高、平均仕入高、平均値入率などです。
平均とはいくつかの数値の中間的で代表的な数字です。
データの種類や計算の仕方によって、何の意味のない数字になるのが平均の特徴です。
平均はいくつかか種類があり、場面によって使い分ける必要があります。
代表的なものは以下の五つです。
(1)単純平均(相加平均)
(2)相乗平均
(3)調和平均
(4)中間項平均
(5)加重平均
単純平均は、すべての項目の数値の合計を、項目の数の合計で割ったものです。
多くの人が普通に使っている「平均」のことです。算術平均とも言います、
相乗平均とは、すべての項目の積を、項目の個数で開いたものです。幾何平均とも言います。
言葉にする難しいです。相乗平均はあとで説明します。
調和平均とは、すべての項目の逆数の平均の逆数です、
・・・さっぱり分かりませんね。
これもあとで説明します。
中間項平均は、極端な項目を除いた単純平均です。極端な項目の除き方によって平均値を恣意的に操作できてしまうのが欠点です。
加重平均は、すべての項目に「重み(Weight)」をかけて合計し、重みの合計で割ったものです。
重みのつけ方によって平均値を恣意的に操作できてしまうのが欠点です。
これらには使う場面というものがあります。
(1)単純平均は説明する必要がないと思いますので、相乗平均から説明していきます。
(2)相乗平均
相乗平均は、比率の平均値を求めるのに使用します。
ビジネスでは、「最近○年の平均上昇比率」を求める際に使用します。
たとえばある事業において、
5年前は年15%、4年前は△10%、3年前は12%、2年前は10%、1年前は13%の利回りだったとします。
単純平均すると、(15% + △10% + 12% + 10% + 13%)÷ 5 = 8%だから、8%の利回りなのでしょうか?
じつは違います。
この事業の利回りは7.6%です。
もし、この事業の初年度の価値を100として最終年の価値を算出すると、
100 × 1.15 × 0.9 × 1.12 × 1.10 × 1.13 =144.08856
となります。100価値が144強の価値になるのです。
これは5年間の複利の結果ですから、1年の平均を出すには5乗根しまして、
144.08856^(1/5) = 107.6%
となるのです。
成長率は7.6%。
これが相乗平均です。
(3)調和平均
調和平均は平均速度の算出に使用します。
・・・というか、これ以外にあまり用途はないと思います。
これ、意外と間違えやすいことなので面白いのです。
例えば、職場への通勤について考えてください。
行きが自動車に乗って時速50km、帰りが徒歩で時速5km、往復の平均時速は何kmでしょうか?
※ありえない数字ですが、そこは勘弁してください・・・。
22.5kmとおもったあなた、不正解です。
答えは時速約9kmです。
時速というのは、一時間あたりに進む距離なので、通勤のように距離が固定されている場合、単純に平均できないんですね。
自動車に乗っている時間よりも歩いている時間のほうが長いので、単純に平均した22.5lmより遅くなるのです。
もし、距離が10kmと分かっているとき、行きは10kmを0.2時間、帰りは10kmを2時間かけているので20km÷2.2時間=時速約9.09kmと計算できます。
これ、距離が20kmでも50kmでも同じなんです。
50kmで計算してみましょう、行きは50kmを1時間、帰りは50kmを10時間かけているので、100km÷11時間=時速約9.09kmです。
つまり距離が分からなくても平均時速が出せるのです。
調和平均は(2×a×b)÷(a+b)で計算できます。
(4)中間平均
中間項平均はスポーツ競技の採点でよくお目にかかれます。
ジャッジする人が10人いる場合、そのなかの最高点と最低点の人を除いた人たちの評価点を使って平均を算出するのです。
自国に甘かったり、ライバル国に厳しかったりなどが調整できます。
あと、たとえばアメリカのある年齢の平均年収を調べる際に、偶然その抽出者の中にビルゲイツがいたら、とんでもない平均年収になってしまいます。こういった際に、ビルゲイツは「異常値」として判断して、計算する根拠からはずしてしまうということに使われるのです。
(5)加重平均
加重平均は、店舗全商品の平均価格の計算などに使います。
商品にはアイテムと個数があります。
10円の商品100個と、1,000円の商品1個の平均価格が505円ではおかしいですよね?
(10円×100個+1,000円×1個)÷101個=19.8円が個数という重みをつけた平均価格です。
加重平均の重みは、この例のように決められた重みと、任意につけられる重みがあります。
たとえば、過去5年間の売上の平均から来年度の売上の予想をする場合、最近の売上高の重みを大きくするようにし過去にいくほど影響を少なくするような場合です。
このように平均はいろいろ種類があり、使いどころが違います。
使いどころを間違えると、投資判断を間違えたりと損失をこうむることも出ます。
これら5つは覚えておいたほうがいいと思います。
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