インスタントラーメンの王者、日清食品ホールディングス。高級カップ麺で主力の「ラ王」より価格が高い「セブンイレブン」向けのPB商品にも力を入れる。自社の看板商品を脅かしかねないPBをなぜ手がけるのか。安藤宏基社長に真意を聞いた。
「セブンイレブン(セブン-イレブン・ジャパン)」で扱う高級PB(プライベートブランド)「セブンゴールド」のカップ麺は、日清食品が供給しています。「すみれ 札幌濃厚味噌」「山頭火 旭川とんこつ塩」などの価格は278円(税込み)で、日清の高級カップ麺の「ラ王」より3割も高い。なぜ看板商品を脅かすようなPBを手がけることを決めたのでしょうか。
安藤:セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長から、「セブンゴールド」で高級カップ麺を作るので、「価格は高くてもいいから、品質が良くておいしい、最高のものを作ってほしい」と要請されたからです。
当社のインスタントラーメンは誕生してから今年で56年目を迎えますが、最初の50年間は製麺の基本技術はあまり進化していませんでした。でも50年くらい経ってから様々な新技術が次々に生まれてきた。三層麺製法や太いストレート麺を作る技術などが進化して、インスタントラーメンの最先端技術が蓄積されてきました。
そのタイミングで、最高のもの(技術)を入れて仕上げてくれ、高くなってもいいと鈴木会長に言われました。コンビニエンスストアという業態は、価格勝負ではなくて、いい品質のものを売る。多少高くてもいいものを継続に追求する業態だと感じていました。だから鈴木会長の情熱には応えざるを得ないし、応えようと思いました。
先端的な技術とはどのようなものでしょうか。
安藤:三層のストレート麺製法、ノンフライ、スープの再生度合いが、炊き出しと同じくらい精度の高いもの、それから分厚いチャーシューなどです。
ラ王とはどのような部分が違うのでしょうか。
安藤:ラ王とはコンセプトが違います。セブンゴールドのカップ麺は専門店の味の再現なので、再現力がどれくらい高いのかを気にしています。再生する技術で本物感をどこまで実現できるのか。究極を極めた商品を実現しました。このためラ王よりも値段が高くなっています。
NBはメーカーのフラッグシップ商品で、PBは安さが売り物というイメージが一般的にあります。日清にとって看板商品のラ王より、セブンゴールドの価格が高くても問題ないのでしょうか。
安藤:価格が逆転しても構いません。消費者が求めるものに対して、そのターゲットに適した商品を当てればいい。ニーズの分散化を満たすときには一品ではカバーできません。多少お金を払っても専門店の味がいいというセグメントの顧客に応える商品がある一方、ラ王には違う路線があります。