米アマゾン、独自スマートフォン「Fire Phone」を正式発表

米アマゾンは18日(現地時間)、シアトルで開催中のプレスイベントにおいて独自スマートフォン「Fire phone」を正式発表した。

DSC_1546

発表に先立ち、同社が提供している有料会員サービス「Amazon Prime」が順調に会員数を伸ばしていることを強調。すでに数千万人のユーザーを獲得していることを明らかにした(地域は不明)。さらに、Kindle Fire HDなどと連携した定額の音楽・映画配信サービスをはじめるなど、配送料を定額にする以外の新たなサービスを提供しているとしており、今後もPrimeは進化すると述べた。

また、同社がハードウェア事業に参入してから7年の月日が経過したとしており、最初のKindleをローンチするまでに3年の月日を要したことを明らかにした。その後はKindle PaperwhiteやHDXなどのタブレット端末を続々リリース。今ではKindleシリーズタブレットの所有者は数千万人を超えているという。

Amazonの核は「顧客との信頼関係の構築」にあるとしており、過去20年あまりの歴史の中でベゾスCEOがそれらを最も重要視してきたことを強調。2013年においては米国の消費者における満足度指数でナンバーワンを獲得したことを誇示した。

Amazon独自スマートフォンの発表

ベゾス氏はスマートフォンがもたらすメリットを強調しており、Amazon Primeのエコシステムを強固なものにするとした。

DSC_1615

ディスプレイの保護ガラスにはゴリラガラス3を採用。周囲はラバー素材のフレームで覆われており、ボタンはアルミニウム製の素材が採用されている。ディスプレイサイズは約4.7インチでIPS液晶を採用。片手で持つのに最適なサイズであるとしている。

DSC_1621 DSC_1627 DSC_1629

解像度はHDとされているが、現時点では詳細は不明。ディスプレイの明るさは590nits。プロセッサには2.2GHz駆動のクアッドコアプロセッサ、Adreno 330グラフィックチップ、2GB RAMを搭載。カメラは1300万画素の撮像センサーを採用し、F値は2.0のレンズ。光学手ブレ補正を採用しているのも大きな特徴となる。

DSC_1639

ライバル機種との比較ではFire Phoneが最も美しく撮影できることを強調。デジタルカメラが苦手である暗所環境においては、最新機種のGalaxy S5だけでなくiPhone 5sにおいてもノイズ・手ブレが無くクリアに撮影できるとしている。

DSC_1642
DSC_1644

カメラ専用のレリーズボタンを本体左側面に配置。撮影した写真データはオンラインを通じて「無制限」のストレージに保存することが出来る。ライバルとなるiCloudやGoogle Driveとは大きくことなる点の一つだ。もちろん価格は無料で提供される。

DSC_1648

さらに本体内蔵スピーカーにも拘っており、ドルビーデジタル規格に対応するデュアルステレオスピーカーを搭載。バーチャルサラウンド再生にも対応する。

DSC_1652

本体に同梱されるイヤホン・マイクにもこだわりをみせている。

DSC_1664 DSC_1661

コンテンツ面での取り組みとしては、セカンドスクリーンとしてムービーとテレビ番組のX-Ray機能に対応。テレビ本体で視聴しているAmazonのコンテンツに関する補助的な情報を手元のFire Phoneで見ることができる。

さらに、Fire Phoneの中に動画などをキャッシュすることも可能。Amazonの配信サービスだけでなく、NetflixやHBO Go、Hulu Plus ESPNなどにも対応する(Amazon App Store経由)。

DSC_1668

また、Prime music機能では、ストリームデータとしてプライム会員であれば無料で音楽を聞くことが可能。他の無料サービスにありがちな広告表示も行われない。端末は限定されるものの、Google MusicやSpotifyなどは大きなライバルが現れた形だ。

DSC_1673

もちろん、Kindleから始まった「電子書籍」についても忘れられない要素であり、読書機能も備えられている。Fire Phoneでは音声による音読に対応。

DSC_1681
DSC_1687

さらに、オペレーターによる音声ヘルプサービスも提供。日本では携帯キャリアが提供しているようなサービスをAmazon自身が提供してしまうという試みだ。24時間365日、Wi-Fiまたは3G/4G回線経由で無料で利用することができる。

Amazonとの連携を強固に

DSC_1690

Fire Phoneに搭載される「FIREFLY」機能では、カメラ経由で本・DVD・CDなどの表紙などをスキャンして認識する機能を提供。その他にもURLや各種数字、バーコードにも対応する。

DSC_1701

当然ながらFIREFLYで認識したものはAmazon上の商品データベースと連携し、レビュー参照はもちろんのことAmazon経由で購入することも可能。バーコードリーダーを通じた同様の機能はAmazonの公式アプリで提供されているが、今回はパッケージ画像なども対応していることが大きな違い。

DSC_1712

さらに、周囲に流れている音楽や歌を認識。その曲を自動的に検出してこちらもAmazonのコンテンツ配信サービスやCD販売を通じて購入することが出来る。

DSC_1716

驚くことに、テレビで放映されているテレビ番組も認識することが可能で、それらのあらすじや続編の購入、または他のオンデマンドサービスを通じた視聴にも対応。前述の動画対応「X-Ray」も利用することが出来てしまうのが凄いところだ。

DSC_1725 DSC_1721

FIREFLYの認識は留まることを知らず、絵画や街中の看板までありとあらゆるものを認識。現時点で1億点を超えるありとあらゆるアイテムを認識することが可能であるとのこと。この分野でアプリを精力的にリリースしている企業にとっては目を覆いたくなるような出来事かもしれない。

DSC_1732 DSC_1736

OCR性能も極めて高く、上画像のように反射した「703」のように見える状況であっても、しっかりと「708」と認識することが出来る。なお、上画像2枚目のように画像データ内から解析に必要な部分のみを抽出することでデータ量を大幅に削減。FIREFLYではAmazon Cloudサービスを使用しているが、それらの処理負荷低減にも寄与しているとのこと。

DSC_1740

FIREFLYは本体左側に専用のボタンが用意され、いつでもどのタイミングでも起動することが可能。起動時間は1秒程度で、1億種類を超えるアイテムを識別可能だ。

DSC_1744

なお、開発者向けにFIREFLY SDKを公開。FIREFLYの機能をアプリの中に取り込むことが可能となる。このSDKがどのプラットフォームに対応するのかは定かではないが、FIREFLY専用ボタンの存在などを考慮すると、Fire Phone向けのAmazon App Storeで配布されるアプリを対象にしている可能性が高い(未確定)。

3Dインタフェースを採用

そして、噂通りにFire Phoneでは3D効果を利用したインタフェースが採用された。ロック画面では奥行きの効果がしっかりと見て取れるとしているが、写真画像では分かりにくい。実際にFire Phoneを触れたユーザーからの感想や動画レビューを待ちたいところだ。

DSC_1762 DSC_1758 DSC_1752
DSC_1773

さらに、遊び要素だけでなく地図の立体表示では3D表示を活かしたモードも利用可能であり、デモではエンパイアステートビルが立体に表示されていた。

UI面での改善

DSC_1795

Fire PhoneはUI面での改善アプローチも行われており、タッチ操作ではなく端末を傾けるといった操作にも最適化されている。一例としてはWEBブラウザにおける傾斜スクロールが披露され、端末を傾けることで適度に内容がスクロールされる仕組みだ。デモを見たTHE VERGEの記者によると、非常によくスムーズに動作するとのことで、こちらも動画レビューの登場を待ちたい。

DSC_1835

さらに、本体前面に多数搭載されていると思われるカメラを用いて、ユーザーの頭部の状態をリアルタイムに検出。一般的なアイトラッキング技術では環境の照度などに影響されて誤作動が多いものであったが、Fire Phoneの場合は暗い場所やユーザーの髪型・ヒゲといった「標準的な顔面形態」からかけ離れた「コンピューターが認識し難いイレギュラー例」であっても認識精度を高めたとのこと。

DSC_1843

上記の取り組みにあたり、まずは広角レンズを採用。120度という角度を有することで環境と物体の境目をハッキリさせることに成功した。

DSC_1846

さらに、2台のカメラを利用して深さ(深度)を検出。実際は4台のカメラを四隅に搭載しているが、手で持った際に被さる2台を自動的に利用せず、最適な2台を利用して深度検出を行うとのこと。

DSC_1861

赤外線カメラによる検出を試みることで暗所であってもしっかりと顔を認識できることが特徴。デモではしっかりと目・口の状況が分かることが示された。

これらの使い道は非常に多用で、様々な使い方が考えられる。表情によるスクロールといった操作や賢いスリープモードへの移行、または対応アプリの開発など、使い方はデベロッパー次第といったところだ。サムスンなどがGalaxyシリーズで取り組むアイトラッキング技術と比較すると精度は段違いに良いようで、こういったトラッキング技術を搭載したスマートフォンにおいては “はじめてと言って良いほど” 実用的なものが出てきた印象である。

価格は2年縛りで199.99ドル

気になる価格であるが、こちらも事前情報通りにAT&T専売で199.99ドル(約2万300円)。こちらの価格は2年縛りを適用した際の価格となる。予約は本日から開始。

DSC_1887

2年縛り無しモデルも存在

またはAT&Tの2年縛りがないモデルについては月額27ドルで利用可能。内蔵ストレージはいずれも32GBとなる。

なお、米国における一番大きな特徴としては「Amazon Prime」の12ヶ月分が予め含まれているということだ。日本国内と異なり、米国におけるAmazon Primeの価格は年額99ドルと非常に高い。もはやAmazon Primeに料金を支払うのであれば、Fire Phoneを購入したほうが得であるようにも思える価格となっている。

[THE VERGE]

ソーシャルシェア

著者

管理人

管理人

サイト管理と記事の執筆を担当しています。ガジェットなら何でも食べる雑食。メーカーや技術方式にこだわらず、いろいろな製品をタッチ&トライ!

関連する記事

18 件のコメント

  1. No-Name 2014年6月19日 03:07 No.957357 返信

    Fire Phoneは4.7インチか
    やっぱそのくらいがベストだよなあ
    大型化するって言われてるiPhone 6とZ3 fにも期待

    Thumb up 3 Thumb down
  2. No Name 2014年6月19日 03:25 No.957381 返信

    キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!

    Thumb up 1 Thumb down
  3. No Name 2014年6月19日 03:30 No.957387 返信

    Fireflyって言うと、某ゲームを思い出す

    それにしても、ようやくって感じだね。
    思ったよりも時間かかった

    Thumb up 0 Thumb down
  4. No Name 2014年6月19日 03:30 No.957388 返信

    >本体に同梱されるスピーカーにもこだわりをみせている。
    同梱されてるのはイヤホン(マイク)

    AndroidベースのFireOSだからAndroidアプリそのままのAmazoneAppあるから便利だな。

    Thumb up 0 Thumb down
  5. No Name 2014年6月19日 03:30 No.957389 返信

    FIREFLY便利そうだな
    とりあえず日本での発売も頼むよ!プライム会員になるのもやぶさかではない!

    Thumb up 1 Thumb down
  6. No Name 2014年6月19日 03:33 No.957393 返信

    FIREFLYのアイコンはどうにかならなかったのだろうか
    Gを連想してしまう
    SoCはS800か801かな。これで解像度がHDなら結構良さそうだね
    日本ではSIMフリーでと言いたいところだけど出るとしたらドコモになるのかな

    Thumb up 2 Thumb down
    • No Name 2014年6月19日 03:44 No.957409 返信

      ゴキブリもホタルもフラットデザインぽくしたら大して変わらないからなぁw

      Thumb up 1 Thumb down
  7. No Name 2014年6月19日 03:35 No.957395 返信

    このスマホはandroidアプリをandroidと同じようにplay storeからインストールして使えるの?
    まさかwindows phoneのように独自アプリストアなんて言い出すわけじゃないよね・・・

    Thumb up 0 Thumb down
  8. No Name 2014年6月19日 03:40 No.957401 返信

    3Dって必要だと思わせるほどの出来なんだろうか
    中途半端な3Dだと見づらいだけでいらないよな普通に

    Thumb up 0 Thumb down
  9. No Name 2014年6月19日 03:47 No.957411 返信

    イノベーターは楽しみだね
    アーリーアダプターは様子見(^^)

    Thumb up 0 Thumb down
  10. No-Name 2014年6月19日 03:51 No.957414 返信

    値段気になる!

    Thumb up 1 Thumb down
  11. No Name 2014年6月19日 03:51 No.957415 返信

    Amazon本気出したか

    Thumb up 1 Thumb down
  12. No Name 2014年6月19日 03:51 No.957416 返信

    amazonの革新的な試みには驚かされるばかりだね

    Thumb up 0 Thumb down
  13. No Name 2014年6月19日 03:59 No.957426 返信

    いいね!
    デザインが若干iphoneダサくしたような感じだけどw

    Thumb up 0 Thumb down
  14. No Name 2014年6月19日 04:00 No.957430 返信

    Prime Music地味に気になるな
    日本では難しそうなサービスだけど

    Thumb up 0 Thumb down
    • No Name 2014年6月19日 04:18 No.957444 返信

      PrimMusicはでもね、曲数が他より圧倒的に少ないんだよ、百万曲って話しだからspotifyやMS、SONYのの1/10以下。おそらくSpotifyのようなモデルには米アマ本体もできないと思う、だって買ってもらえなくなるし。

      Thumb up 0 Thumb down
  15. No Name 2014年6月19日 04:00 No.957431 返信

    playストアまた使えないんだろうな

    Thumb up 0 Thumb down
  16. No Name 2014年6月19日 04:15 No.957441 返信

    http://www.amazon.com/dp/B00EOE0WKQ

    すでに米Amazonで動画が見られる。ポップアップする3Dタイプじゃなくて画面の見せ方でつくる3Dなのでほぼ全容がわかる。なるほど確かに3Dになってるし、どちらかというとモーションでUI(携帯を傾けるとドロワーが出てきたり、スクロールできる)ってのも大きいっぽいな。

    しかしとはいえ実質Amazon信者専用なわけで、売れるんかなこれ

    Thumb up 0 Thumb down
このニュースでディスカッション
  • コメントを投稿する際には「コメントガイドライン」を必ずご覧ください
  • コメントを投稿した際には、コメント機能利用規約(ガイドライン)に同意したものとみなされます
  • 主要ニュースサイトなどの「許可サイト」以外のURLを含む投稿はコメントが保留されます

Access Ranking

Latest Posts