STAP細胞:「僕のマウスから絶対にできない」若山教授

毎日新聞 2014年06月16日 21時16分(最終更新 06月16日 23時39分)

STAP幹細胞の解析結果が、提供したマウスのものと異なると説明する若山照彦・山梨大教授=甲府市の山梨大で2014年6月16日午後3時50分、松本光樹撮影
STAP幹細胞の解析結果が、提供したマウスのものと異なると説明する若山照彦・山梨大教授=甲府市の山梨大で2014年6月16日午後3時50分、松本光樹撮影
STAP細胞への疑惑に対する説明の違い
STAP細胞への疑惑に対する説明の違い

 ◇第三者機関解析結果、8株のマウスの飼育・購入歴なく

 STAP細胞論文の責任著者の一人、若山照彦・山梨大教授が16日記者会見し、STAP細胞から作った「STAP幹細胞」を第三者機関が解析した結果について、「これまでの結果は全てSTAP細胞の存在を否定している」と説明した。解析したうち8株は若山氏の研究室にいなかったマウスのものと判明したという。論文不正を巡る一連の騒動については「皆さんにご迷惑をお掛けし、心からおわびしたい」と謝罪した。

 理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(CDB、神戸市)の小保方(おぼかた)晴子・研究ユニットリーダーは、当時CDBにあった若山研から生後1週間のマウスの提供を受け、それを元にSTAP細胞を作っていたとされる。

 解析したのは、若山氏が、小保方氏から受け取ったSTAP細胞で作ったSTAP幹細胞。STAP細胞のままでは増殖能力が低く、特殊な溶液で培養して増殖する力を持たせたとされる。若山氏は論文の撤回を呼びかけた今年3月、山梨大で保管していたSTAP幹細胞の解析を第三者機関に依頼していた。

 解析した14株のうち8株は、細胞を光らせるために遺伝子を挿入した場所が、渡したマウスは18番染色体だったにもかかわらず、解析した細胞では15番染色体だった。残りも、マウスの系統が異なるなど不自然な結果だった。遺伝子の挿入場所が異なっていた8株の結果と一致するマウスは、若山研で飼育、購入したことはなく、若山氏は「なぜこのような幹細胞ができたのか、全く分からない。僕の研究室から提供するマウスでは絶対にできない結果」と困惑した。

 STAP細胞の有無について、若山氏は「絶対にないと証明することはできない」と明言しなかったが、「これまでにSTAP細胞があることを示す証拠はない。前提は崩れている」と述べた。胚性幹細胞(ES細胞)が混入した可能性についても回答を避けたものの、若山研に当時いた学生が小保方氏にES細胞を渡したと証言したことなどを挙げ、「ES細胞を自由に使える環境だった」と説明した。若山氏は、STAP細胞が持つとされる万能性を証明するためのマウス実験を担当した。【須田桃子、松本光樹】

 ◇若山教授の会見骨子

・STAP幹細胞が若山研究室が提供したマウス由来でない点

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