昨日11月5日より始まった『内藤誠レトロスペクティブ』。
特集初日には『ネオンくらげ』と『不良番長 送り狼』が上映され、
内藤誠監督と杉作J太郎さんによるトークショーが行われました。
キャスティングの裏話、当時の風俗、そしてそして、誰もが聞きたくて聞きづらい「アノ話」にも、杉作J太郎さんが果敢にアタック! 楽しく刺激的なトークとなりました。
盛り上がったのは、東映プログラムピクチャー独特のパンチが効いたタイトルの秘密について。“東映マジック”によって、あらゆる原題がものすごいタイトルに変わってしまった数々の例を、百戦錬磨の内藤誠監督が実体験を混じえて披露してくださいました。
黒岩重吾の「背徳の伝道者」を内藤誠監督が新作として撮ることになったのですが、完成時にはタイトルが「夜の手配師 すけ千人斬り』と劇的に変貌。黒岩重吾さんは「お金は戴きますが……」とおっしゃり、そのお名前はクレジットから静かに消えたとか…。
また、小幡欣治原作の「あかさたな」などは『妾二十一人 ど助平一代』(!)というタイトルに変わってしまいます。内藤監督からその報を聞いた出演女優・佐久間良子さんは「ホロホロと涙をこぼした」といいますから、心中お察しいたします。
「ドスケベって!! いや、見たくはなりますけど、デートでは行きたくないですよね」と杉作J太郎さん。
かのシリーズ物の一作『不良番長 大手飛車』が、元々は『新宿仁義』っていうタイトルだったというのも、意外なお話。そんななか珍しく『ネオンくらげ』は、 最初にタイトルが決まっていて、このタイトルで脚本を書いて映画を作れ、と言われたのだとか。タイトルありき、だったんですね。確かに素敵なタイトルです。
我らが『明日泣く』は原作ママのタイトルですが「岡田茂(東映の元社長)が現役だったら、こんなタイトル許されないでしょうね!」と、内藤誠監督。「どんなタイトルになりそうか? 皆さんで考えてみてください」と、観客に委ねました。
ほかにも、“『番格ロック』の上映・ソフト化を待ち望む映画ファンの会”の皆さんなら絶対聞きたかったであろうエピソードももろもろ“ポロリ”しましたが、そんなお宝トークが聞けるのも、名画座に映画を観に来てくれたお客様だけの特権。内藤誠監督もウィットに富んでらっしゃるので、「これはもう銭金の問題ではなく、“青春の問題”なんだよ!」と、独特の言い回しでまとめられていらっしゃいました。
終盤、18日に来場予定のジョニー大倉さんが、『番格ロック』のテーマを生で披露してくださる予定であることが、内藤誠監督の口から発表され、場内からは大きなどよめきが起きました。『番格ロック』本編上映こそないものの、これはビックリニュースです!
レトロスペクティブは2週間続きます。
ぜひ映画館に足を運んで、銀幕で生の映画を、そしてゲストの生のトークを目撃しにいらしてください。
今しか観れないもの、今しか聞けないことがあります!