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「顔出しミニスカ」も当たり前 暴走する承認欲求
ソーシャル新人類の不夜城(8)

(4/4ページ)
2014/6/17 7:00
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 A奈は露出を増やし、徐々にアップする動画もエスカレートしていった。最終的には、露出が増えすぎてアカウントを削除されてしまったが、A奈は場を変えてまた配信するつもりだという。「みんなが待っているから。みんなに見てもらえて、タレントになったみたいで気持ちよかった。こんなに何をしても喜んでもらえて、反応がもらえる場なんてほかにない」。

 本連載でこれまでも述べてきた「承認欲求」を、露出を増やした自分の動画を配信することで満たしているのだ。満たされたい欲求には終わりがないため、露出にも際限がなくなってしまう。そして、このような動画はネット上に永遠に残り、やがて彼女たちを苦しめることになる。

 冒頭で述べたように、カリスマ的人気を持つネット上のパフォーマーや歌い手などの配信者に心酔する子どもたちがいる。配信者はTwitterアカウントなど公開した上で視聴者と交流しているため、直接やり取りができるまで身近になっている。この結果、小中学生の女子が成人男性の歌い手と直接会い、性的被害に遭ったケースもあるという。

■顔出しに抵抗なく、もっとつながりたい子どもたち

 スマホやSNSをよく使う10代の子どもは自分撮りに慣れている。3秒だけ写真が共有できるサービス「Muuk」(ムーク)などを見ても、自分の決め顔の撮り方がよく分かっているし、テレビ番組を見るように日常的に動画配信を見ている。そして、SNSに投稿するように、気軽に自分の写真や動画を配信する。スマホやSNSの普及で、コミュニケーションの形が大きく変わってきているのだ。

動画を自分撮り映像として配信している例。マスクで顔を隠したり部屋の一部を映したりしてプライバシーに気をつけている配信者もいる

動画を自分撮り映像として配信している例。マスクで顔を隠したり部屋の一部を映したりしてプライバシーに気をつけている配信者もいる

 ソーシャルメディアは、子どもたちが持つ、承認欲求やつながり欲求を強く刺激する。つながりの規模が数字として目に見えてしまうからこそ、「もっと認めてほしい」「もっとつながりたい」と感じる。

 配信すれば誰かに見てもらえるが、それだけではアクセス数に限界がある。もっと見てもらうために、過激な行動に出てしまう子どもたち。これは本連載で以前に触れた、フォロワーを増やしたいからTwitterで過激な書き込みをした心理と根っこは同じだろう。

 動画の配信そのものは悪いものではない。しかし、ネットによる一対多のコミュニケーションは、高揚感を得られる半面、中毒性を伴いさらなる激しい飢餓感を募らせる。

 周囲の大人たちは、リアルの世界で一対一の密なコミュニケーションを取り、子どもが底なしの欲求が発露するネットの世界で深みにはまらないように、気を配らなくてはならない。

高橋暁子(たかはし・あきこ)
 ITジャーナリスト、情報リテラシーアドバイザー。SNSなどのウェブサービス、子どもの携帯電話利用をはじめとした情報モラル教育、電子書籍などに詳しい。元小学校教員であり、昨今の教育問題にも精通している。本や記事の執筆のほか、携帯電話やSNSなどをテーマに講演、セミナー、監修、アドバイザーなども手がける。近著は『スマホ×ソーシャルで儲かる会社に変わる本』(日本実業出版社)、『ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条』(共著、マイナビ)。

[ITpro 2014年4月23日付の記事を基に再構成]

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