小保方氏研究室にES細胞容器!若山教授は「STAPある証拠なかった」
STAP細胞論文の共著者の若山照彦山梨大教授(47)は16日、自身が保管していたSTAP幹細胞の解析結果を発表し、「STAP細胞があることを示す証拠はなかった」との見方を示した。保管していた細胞は、理化学研究所の小保方晴子氏(30)が実験していた若山研究室では使ったことがないマウスの細胞でできていたことが放射性医学総合研究所の解析で判明した。また、理研は小保方氏の研究室から「ES細胞」と書かれた容器が見つかったことを明らかにした。
「関係者のみなさまにご迷惑をおかけし、深くおわびします」。2時間に及んだ会見の冒頭、若山氏は一連の騒動を改めて謝罪した。その上で、第三者機関に依頼した解析結果を公表した。
STAP細胞は生後1週間程度のマウスの細胞から作るとされ、若山氏はマウスを交配して産ませた子を小保方氏に提供していた。
そこから作製したとされたSTAP細胞をもとにしたSTAP幹細胞を調べたところ、8株は人工的に遺伝子を挿入した位置がもとのマウスと異なっていたほか、2株は別系統のマウスだった。若山氏は「研究室にはいないマウス。小保方さんに渡すことのできないマウスだ」と指摘。STAP細胞については「信じたいし、今も夢の細胞であってほしいと思う。だが、すべての解析結果が否定している」。
STAP細胞は胎盤に変化できる特徴があり、胎盤が光る実験で確かめたとされたが、若山氏は胚性幹細胞(ES細胞)の実験でも胎盤は光って見えると明らかにした。小保方氏側はES細胞の混入は起こり得ない状況だったと説明。一方、理研はこの日、小保方氏の研究室に「ES細胞」と書かれた容器があり、中の細胞が若山氏の保管するSTAP幹細胞と遺伝子の特徴が一致したことを明らかにした。
一致したのは、緑色に光るタンパク質を作る遺伝子が組み込まれた染色体の番号。STAP幹細胞は、実際はさまざまな細胞に成長できるES細胞ではないかとの疑いが一部にある。若山氏は「自分の研究室の学生が数か月前にES細胞を小保方氏に渡していたことが分かっている。ES細胞を普段自由に使える環境だったということは間違いない」と述べた。
今後、STAP細胞の研究を続けるのか、との問いに若山氏は「山梨大に移ってから何十回実験を繰り返して(細胞が)できていない。『できる』と言うのは小保方氏1人だ」。一方で、「STAP細胞が絶対にない、とは言い切れない。ない、という証明はできない」とも付け加えた。
自身の懲戒処分については「山梨大の学長は『一切処分をしない』というが自分から大学側に何か処分を申し出るつもりだ」と憔悴(しょうすい)した表情だった。