長野剛
2014年6月17日21時45分
地球温暖化による海水温の上昇が激しい日本海で、スルメイカに異変が起きている。春から夏の北上のペースがはやまって漁期が短くなり、本州沿岸で取れる量は激減。秋の南下ルートも大陸側に移ったことから、韓国側が豊漁に沸く事態となっている。
スルメイカは、国内のイカ漁獲の8割を占める重要な水産資源。日本海では、秋から年末、山陰から九州西部沖の海域で産卵する。子は夏までに日本海北部まで北上し、その後、産卵場所に戻る習性を持つ。かつては、北上中に道草したり居残ったりするイカも多く、本州沿岸では長い期間取れた。
水産総合研究センター日本海区水産研究所(新潟市)の木所英昭・資源管理グループ長の調べでは1980年代、秋田~山口県沖で1カ月の合計で2千トン以上とれたのは、5~12月の8カ月間だった。それが2000年代は5~7月の3カ月間に減った。
この原因を、木所さんは1998年を境に急上昇した春から秋の海水温とみる。本州沿いに流れる対馬暖流域では、温度が最も上がる秋で、それまで19度前後だったのが20度前後に。居残りに適さなくなり、素通りするようになったらしい。
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