福島第1原発事故:賠償訴訟 裁判傍聴「サポーター」募集

毎日新聞 2014年06月16日 17時17分

 ◇札幌在住・原告の宍戸さん「席を埋めて、避難者支えて」

 東京電力福島第1原発事故での避難者が国と東電を相手に損害賠償を求めている訴訟で、札幌市厚別区に住む原告の宍戸隆子さん(41)が、裁判の傍聴に協力する「サポーター」を募集している。札幌訴訟は順次提訴されており、原告は66世帯200人以上に増えたが、80席ある札幌地裁の傍聴席を埋めきれない時もある。宍戸さんは「原告とともに席を埋め、避難者を支えてもらえたら心強い」と話している。

 福島県から北海道へ避難した人たちが国と東電に1人当たり1650万円の損害賠償を求めた札幌の集団訴訟は昨年6月、13世帯43人が提訴。これまで4回の口頭弁論が開かれたが、満席だった1回目を除いて傍聴席は7割程度しか埋まっていない。

 原告が傍聴できない背景には、裁判が平日のため、経済的な苦境の中で仕事を休めない事情がある。宍戸さんも福島県ではフルタイムで仕事をしていたが札幌ではパートの介護職だ。夫も非常勤職員となり、世帯収入は減った。母子避難世帯では、子育てしながら厳しい家計をやりくりする人も多いという。

 提訴から間もなく1年。宍戸さんは、原発事故に関心を持ってもらい避難者を支えてほしいと、サポーター募集を思いついた。裁判では、原告が避難理由や現在の生活状況を説明する意見陳述もある。宍戸さんは「原発事故は収束していない。傍聴を通じて『北海道で原発事故が起きたらどうなるか』を考えるきっかけにしてもらえたら」と呼び掛けている。

 参加希望者には、裁判日程や勉強会のお知らせをメールで連絡する。問い合わせは宍戸さん宛てにメール(ippohumidasu@gmail.com)で。【久野華代】

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