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理研は抜本改革で不正を絶て

2014/6/17付
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 小保方晴子氏らが発表した「STAP細胞」の論文不正問題で、理化学研究所は関係者の処分を近く決める。処分で終わらせるのではなく、理研は不正を招いた根幹の問題を洗い出し、覚悟を決めて組織改革に踏み出すべきだ。

 外部有識者らがつくる理研改革委員会は先週、論文不正の再発防止策を盛った提言を公表した。STAP研究の舞台になった「発生・再生科学総合研究センター」(神戸市)の解体や幹部の辞任を求めるとともに、不正防止を担う新組織の設置などを提言した。

 改革委が指摘したように、理研の組織に「構造的な欠陥」があり、今回の疑惑を拡大させたことは明らかだ。小保方氏による捏造(ねつぞう)や改ざんを見抜けず、成果を過大に広報した。調査も限定的で、なぜ不正が起きたのか、真相はなおはっきりしない。

 改革委が理研に踏み込んだ改革を求めたのは当然だ。理研は提言を真摯に受け止め、まず自身で改革案を示すべきだ。

 研究不正の芽を摘む体制づくりは欠かせない。研究者として守るべき作法など倫理教育の徹底が要る。報告は小保方氏らの秘密主義を指摘したが、所内で情報を共有し、批評しあう仕組みも必要だ。

 一方で、意欲ある研究者を萎縮させてはならない。未知の現象に挑もうとする若手を「未熟」と切り捨てるのでなく、先輩が丁寧に教え、独創的な研究を育てたい。

 理研を所管する文部科学省の責任も重い。科学技術予算の増額とともに理研の組織は膨らんできた。研究費の使い方をきちんとチェックしているのか。成果を競わせることは大事だが、特定の科学誌に掲載した論文の本数ばかりを重視していないか。

 政府は理研を、国の研究を先導する「特定研究開発法人」に指定する方針だったが、不正発覚で見送った。指定は理研改革の達成状況を見極めてからでも遅くない。ほかの公的研究機関もこの問題を他山の石とし、不正防止や研究現場の活性化に役立てるべきだ。

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