STAP細胞論文の共著者で理化学研究所に所属していた山梨大の若山照彦教授が16日、研究室に残っていた細胞を分析した結果を公表した。若山氏は「解析はすべてSTAP細胞の存在を否定する結果だったが、絶対にないことを示す証拠ではない」と述べた。理化学研究所の小保方晴子研究ユニットリーダーに渡したマウスとは別のマウスからできた細胞だったことも明らかにした。
研究ではSTAP細胞を小保方氏が作り、若山氏が全身の様々な細胞に育つ能力を調べる実験などを手掛けた。
分析したのは、STAP細胞を培養しやすく変えた「STAP幹細胞」。若山氏が作製し、山梨大に保存していた細胞を放射線医学総合研究所に依頼して調べた。
会見の冒頭で若山氏は「STAP論文についてこのような事態になってしまい、心からおわび申し上げる」と謝罪した。そのうえで「不正には関与していない」と強調。「(小保方氏に)言われた実験結果をうのみにせずにノートを確認していれば防げたかもしれない」と悔やんだ。
会見では、分析した細胞のうち論文に載った10種類について、遺伝子の特徴から若山氏が用意したマウスから作られたとは考えにくいことを説明した。
自分ではSTAP細胞を一度も作製できていないと打ち明け、「(今後も)作れる気がしない」と語った。STAP細胞は存在せずに別の万能細胞である「ES細胞」ではないかとの指摘については「現象をうまく説明できる」と答えた。
STAP細胞の存在を示すには「世界でただ一人作れるという小保方氏が作ってみせるしかない」と指摘。理研が進めている検証実験には必要に応じて協力はするものの、STAP研究を続ける意志がないことも明らかにした。
若山氏は2012年まで理化学研究所に所属し、小保方氏を客員研究員として受け入れていた。その後、山梨大に移り、論文中の重要な画像が小保方氏の博士論文と酷似しているとして、ほかの共著者に論文撤回を呼びかけた。
理研では、STAP細胞の論文を巡って研究不正を認定された小保方氏らの処分を懲戒委員会で検討している。現在は理研に所属していない若山氏は処分の対象外だが、「判断を見て自分の処遇を考える」とした。
若山照彦、STAP細胞