まずはココから

インタビュー

注目バックナンバー

音楽以外の仕事の知見や経験を音楽に活かしたい

MUSIC

なぜ日本では「音楽マーケティング」が語られてこなかったのか?

インタビュー・テキスト:柴那典 撮影:野村由芽(2014/06/17)

音楽を巡る環境は、日々、めまぐるしく変化している。「CDが売れない」と不況を嘆く話題ばかりが飛び交っていたのは、もはや数年前の状況。ネットを通じた情報伝達が当たり前になり、音楽の聴かれ方も、伝わり方も、新しい仕組みが生まれている。音楽だけではなくソーシャルメディアの普及以降「モノを伝える」「世の中を動かす」という方法論自体がドラスティックに変わっている。マスマーケティングを主体にした旧来の方法は効力を失いつつある。

高野修平氏の著書『始まりを告げる《世界標準》音楽マーケティング -戦略PRとソーシャルメディアでムーヴメントを生み出す新しい方法-』は、そんな今の時代における新しい音楽マーケティングのあり方を指し示す一冊。本の刊行を機に、同氏と、ブログ「All Digital Music」を運営する音楽ブロガーのジェイ・コウガミ氏に、「音楽のこれから」を語り合ってもらった。

PROFILE

高野修平(たかの しゅうへい)
トライバルメディアハウスにてシニアプランナー/サブマネージャーとして所属。音楽業界ではレーベル、事務所、放送局、音響メーカーなどを支援。日本で初のソーシャルメディアと音楽ビジネスを掛けあわせた著書『音楽の明日を鳴らす-ソーシャルメディアが灯す音楽ビジネス新時代-』、『ソーシャル時代に音楽を”売る”7つの戦略』、『始まりを告げる《世界標準》音楽マーケティング』を執筆。サイドプロジェクトとして、THE NOVEMBERSのマーケティング、コミュニケーションプランニングなども手がけている。
THE GREAT ESCAPE | ソーシャルメディアとデジタル音楽をマーケティング視点から考える音楽ブログ


ジェイ・コウガミ
海外の音楽とテクノロジーの動向を追いかけるブログ「All Digital Music」にて、デジタル音楽をテーマに、Spotifyなどの音楽ストリーミングサービスや音楽サービス、新しいテクノロジー、業界の最新動向、クリエイティブなデジタルPR事例、企業の音楽マーケティングなどをいち早く日本に紹介するブロガー。ブログ以外では音楽ビジネス、デジタル音楽マーケティング、トレンドについて雑誌、オンラインメディアで執筆中。日本初ITx音楽のハッカソン「Music Hack Day」審査員。
All Digital Music

音楽とソーシャルだけでは大きく世の中は動かせない。(高野)

―そもそも高野さんは、どういう思いを持ってこの『始まりを告げる《世界標準》音楽マーケティング』を書き始めたんでしょうか。

高野:そもそもの話をすると、僕は幼い頃からずっと音楽が大好きで、ずっと音楽に救われてきたので、恩返しをしたいという思いがあったんです。それで、3年前かな? いま、所属しているトライバルメディアハウスに入ったと同時にブログを書き始めました。その当時はまだ誰も書いていなかった「音楽とソーシャルメディア」というテーマでブログを書き始めたんです。それがきっかけでした。

―それが2011年のことですね。

高野:そうですね。幸いなことにそのブログをいろんな方に読んでいただく機会が増えて、その中でジェイくんとも会えたし、1冊目の著書『音楽の明日を鳴らす~ソーシャルメディアが灯す音楽ビジネスマーケティング新時代~』(2012年9月発売)という、ソーシャルメディアと音楽を融合させることについての本を、日本で初めて書くことができました。それから『ソーシャル時代に音楽を“売る”7つの戦略-“音楽人”が切り拓く新世紀音楽ビジネス-』(2012年10月発売)を共著で書かせていただきました。しかし書き終わってから、音楽とソーシャルだけでは世の中は動かせないと思うようになりました。

―「音楽とソーシャル」以外で、何が足りなかったのでしょうか?

高野:それを考えている時に、「PR」という概念が浮かんできたんです。日本で一般的にイメージされる「PR」とはまた少し違うので、「戦略PR」と呼ばれているのですが、「ソーシャル×音楽×戦略PR」というテーマを軸に、「音楽で世の中を動かすことができるのか?」という問題を考えたのが、この本の出発点になりました。

―なるほど。ジェイさんは「音楽ブロガー」として活動しているわけですが、これはどういうきっかけで始めたんですか。

ジェイ:僕は、音楽の聴き方がCDよりもっとデジタル寄りなんですね。ダウンロードもするし、ウェブサービスを使っても聴くし。だから僕の関心は、音楽をどうやって人に届けるか、どうやって聴くか、それを支えるデジタルのツールがこの先どうなるか。そこにフォーカスしたブログをやってみようかなと思ったのがきっかけです。

左から:ジェイ・コウガミ、高野修平
左から:ジェイ・コウガミ、高野修平


生活者の中に常にあるはずの音楽に関するマーケティングの本が、なぜか今まで存在しなかった。だからこの本は、日本で初めての本格的な音楽マーケティングの本だと思いました。(ジェイ)

―ブログや本を書くにあたって、今の日本においては、音楽を届ける仕組みに足りないものがあるという問題意識があったんでしょうか。

高野:最初はそこまで明確には思っていなかったです。もともとは単純に、ソーシャルメディアマーケティングから音楽に恩返しがしたいというモチベーションしかなかったので。僕は音楽以外の仕事もしてるので、その知見や経験を音楽に活かして、なにか役に立つことができればという思いでした。

ジェイ:僕が思うのは、日本の音楽業界では、まだまだデジタル化、テクノロジーの導入が進んでないところがある。世界の方法論を見ていると、日本にもまだまだ可能性があると思うんです。音楽をどうやって届けるのか、音楽をどうやって継続して聴かせるのか、そしてそれをビジネスにする。テクノロジーは、それを解決・実現してくれるツールだと思ってます。

―ジェイさんはこの本をどういう風に読みましたか?

ジェイ:僕の感想は2つあります。まず1つ、僕、高野修平のファンなんです(笑)。

高野:ありがとうございます(笑)。

ジェイ:プランナー、マーケターとしての高野くんのアイデアと実現力には、今までの音楽シーンにはない可能性を感じます。で、もう1つは、音楽マーケティングの本って、今まで誰も書いたことがないと思うんです。FacebookやLINEのマーケティングについての本はあるんですけど、生活者の中に常にあるはずの音楽に関するマーケティングの本が、なぜか今まで存在しなかった。あとは逆にサブカル本になってしまったり。だからこの本は、高野くんの第一作にも言えますが、『音楽の明日を鳴らす』と今回の本『始まりを告げる《世界標準》音楽マーケティング』は日本で初めての本格的な音楽マーケティングの本だと思いました。しかもこれはマーケターだけが使うハウツー本ではなくて、ソーシャル時代、モバイル時代の今のトレンドを分析した上で、次に何がくるのか、この先どうしたらいいのかという部分にまで落とし込んでくれているので、今の生活者にも共感できる部分が沢山ある本だとも思っています。


インタビュー一覧に戻る

CINRA.STORE特集記事まとめ

CINRA.STORE カルチャーセレクトショップ

  • 布川愛子 - Tシャツ「黒猫とおさげの女の子」

    ¥3,780

    いつも仲良しの黒猫と女の子

  • 浅野いにお - iPhone5/5Sケース「パンツちゃん(赤)」

    ¥3,780

    人気漫画家が描き下ろした豪華オリジナルアイテム

  • 小林幹也,榮良太 - CINDERELLA(M-05)

    ¥6,156

    イベントやパーティーで非日常的なファッションを楽しむ

  • 本秀康 - iPhone5/5Sケース「RHION RECORDS」(オレンジ)

    ¥3,780

    本秀康が主宰する「雷音レコード」設立記念アイテム

  • アベミズキ - テキスタイルパネル「Mrs.raccoon dog」(A3)

    ¥8,100

    お部屋のインテリアに

  • MONOPURI,STORE,山野 英之(TAKAIYAMA inc.) - I LOVE(山 / 01 / Mサイズ)

    ¥4,860

    みんな大好き「山」と「猫」のレコジャケ入りTシャツ

  • MONOPURI , 501DESIGNSTUDIO , AD&D - THE CUTLERY OF MONOPURI -GRADATION-(パープル / フォーク)

    ¥1,458

    食卓を華やかに彩るグラフィカルなカトラリー

  • MONOPURI , minna , soda design - and(フラワー)

    ¥1,944

    幸せも引き寄せてくれるカラフルな貝殻のマグネット

  • MONOPURI , NARUSE・INOKUMA ARCHITECTS , 大内 裕史 - fula(02)

    ¥1,836

    ゆらゆら揺れて想いを届けるメッセージフラワー

  • MONOPURI , 倉本仁 , 秋山花 - 森のペーパーウェイト(オオカミ)

    ¥1,620

    自分で組み立てる動植物のペーパーウェイトキット

  • trois , 藤井麻利絵 - 鳥と草花のオルゴールセット

    ¥3,680

    オリジナルのメロディーを贈ろう

  • クラーク志織 - iPhone5/5Sケース「あいたたエンジェル」

    ¥3,780

    アクロバティックに舞う幸福のエンジェル

  • kichijitsu - くっつきのし(おめでとう)

    ¥1,080

    オリジナルのメロディーを贈ろう

  • ふぇのたす - iPhone5/5Sケース「ふぇのたす 胸キュン’14」(クリア)

    ¥3,024

    ふぇのたす 2ndミニアルバムリリース記念iPhoneケース

  • lasah , 大槻香奈 - iPhone5/5Sケース「"I LOVE YOU,"」

    ¥3,780

    lasah × 大槻香奈コラボアイテム

パルコ・プロデュース『母に欲す』出演:峯田和伸(銀杏BOYZ) 他 7/10(木)~29(火)パルコ劇場

「横綱とコシヒカリ」の共通点は? 無料編集力チェック さあ、お立ち会い、編集力5分勝負!

レアンドロ・エルリッヒ―ありきたりの? 2014.5.3-8.31 金沢21世紀美術館

100 TOKYO Creative venues, products and people in Tokyo.

はみだし3兄弟 モーニングCINRA出張所

Lawny 毎日使えて心地よい、アートな1点ものバッグ

BEFORE my BREAKFAST おしゃれで機能的なトラベルグッズ

ルルルルズインタビュー行達也と語り合う日本のポップス事情

ふぇのたすインタビュー 「かわいい」だけじゃダメみたい

描き下ろし作品の豪華オリジナルアイテム

モノ×プリントの実験 MONOPURI デザイナーズプロダクトを大特集

へうげもの 作者・山田芳裕が監修したこだわりのメッシュキャップ

ワンピースとタイツ 視線くぎづけ!個性派アートタイツを特集

LET'S PLAY GAME! おしゃれで楽しいテーブルゲーム特集

GIFT for MEN 男性への贈り物におすすめの商品を特集

Gift for WOMEN 女性への贈り物におすすめの商品を特集

永戸鉄也 圧倒的な存在感を放つオリジナル商品

日本のモノづくりメーカー『レーベルクリエーターズ』

URBAN SAFARI 野生動物のハンドメイドアクセサリー

tofubeats×error403対談

「結晶育成キット」神秘的な結晶の世界をDIYで

MyXイチオシアーティスト 坂本慎太郎