大岩ゆり
2014年6月17日08時50分
痛風の予備軍である「高尿酸血症」へのなりやすさは、肥満や飲酒の習慣よりも特定の遺伝子の変異に左右されるとの研究結果を防衛医大などのチームがまとめた。遺伝子を調べることで、リスクの高い人はより積極的にダイエットや節酒に取り組むなど、効率的な予防に役立つという。
痛風は、尿酸が結晶になって関節にたまることで、激しい痛みを引き起こす。成人男性の4人に1人は、血液中に尿酸が多い高尿酸血症の状態だ。防衛医大の松尾洋孝講師や中山昌喜医師らが浜松市で健康診断を受けた35~70歳の約5千人の血液や体重、飲酒量などのデータを解析したところ、高尿酸血症だった約千人のうち29%は遺伝子の変異が主な原因で、肥満(19%)や大量飲酒(15%)よりも影響が大きかった。
変異があったのは「ABCG2」という遺伝子で、変異があると尿酸を体の外へ出す量が通常より25~75%減る。25%減る変異の場合、身長160センチの人で5キロ、170センチの人で5・7キロ、180センチの人で6・4キロ太るのと同じリスクをもたらすとわかった。飲酒と比べると、ビールを週13リットル飲むのと同程度だった。
松尾さんは「遺伝子を調べればダイエットや節酒の具体的な目標の目安がわかり、より効率的に予防策がとれる」と話す。研究は英科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された。(大岩ゆり)
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