成長戦略素案:リニア大阪延伸前倒しは見送り

毎日新聞 2014年06月16日 22時22分(最終更新 06月17日 05時25分)

リニア中央新幹線のルート
リニア中央新幹線のルート

 政府の産業競争力会議が16日まとめた成長戦略「日本再興戦略」改定版の素案に盛り込む方向で調整していたリニア中央新幹線の大阪延伸前倒しは、整備新幹線の開業前倒しを求める与党内の声に配慮して見送りとなった。

 リニア中央新幹線は、2045年に予定してきた名古屋−大阪間開業を、可能な限り東京−名古屋間の27年に近づけるため、国が支援する姿勢を打ち出す方向で調整が続いていた。政府側はJR東海幹部に接触し、国の支援を打診してきた。

 自民党内からも、名古屋先行開業では、大阪など関西経済圏の地盤沈下につながるとして、名古屋−大阪間の工事費3兆6000億円を国が負担し、費用はJR東海が無利子で分割返済する案を政府に提案してきた。

 だが「年間800億円」とされる利子負担は、町村信孝元官房長官らが求める整備新幹線の開業前倒しとほぼ同額となる。党内では整備新幹線を優先すべきだとの声が強く、調整は難航していた。【永井大介】

最新写真特集