「余計な仕事、増やさないでくれ!」――。
こんな言葉を、40を過ぎたベテランの社員に言われたことはないだろうか?
「ベテラン社員の経験を、チーム力につなげたい。ベテラン社員にも、もっともっと頑張ってほしい」
そう思えば思うほど、空回りする。
・そっぽ向かれちゃうとテコでも動かなくなるから、結構、大変。
・社内教育プログラムの講師をお願いしようとしたら、露骨に嫌な顔された。
・仕事を頼むと、「なんで?」って真顔で聞く。メチャクチャやりづらい。
などなど、「余計な仕事を増やすな!」と不快感を露わにする、“年上部下”に苦悩する人たちは少なくない。
仕方がないので、上司は、“その人のための仕事”をつくり、メンバーは、“その人のためのフォロー”をし、メンバー全員が翻弄される。生産性にちっともつながらない、“ベテラン社員”のための仕事に、チームが振り回されるのである。
「つい、『余計な仕事を、増やさないでくれよ』って、言ってしまう自分がいます。大人気ないなぁと思う。でも、とにかく放っておいてほしい。そんな気持ちになってしまうんです」
そんな複雑な “気持ち”を、先日、49歳の男性が明かしてくれた。
カッコ悪い自分の言動を話すのは、正直、恥ずかしかったはずだ。だが、彼は赤の他人の私に、苦しい胸の内、を話してくれた。多分、「自分を変えたい!」――。そんな思いもあったのだろう。
これまでにも、50歳という年齢を目前に控え、「キャリア・プラトー」に陥る人たちに、度々お目にかかってきたが、おそらく今後はもっともっと増える(キャリア・プラトーの説明はのちほど)。
なんせ、半数以上の人たちが、50歳を過ぎても課長や部長といった管理職に就いておらず、先月、民間の調査会社が行った調査でも、5割近くの企業が「管理職の人員比率が多すぎる」と回答したのだ (こちらの記事を参照)。
定年を延長する企業が増える一方で、未だに企業のキャリアパスは、40代がゴールであるにもかかわらず、だ。
「で? 何か問題でも?」
「人生、会社に預けすぎなんだよ」
勝手なことばかり言う、バブル世代にうんざり気味の方もいるだろう。
でも、前述の男性の話を聞いていて、考えさせられてしまったのです。なぜか分からない。だが、私自身がこの男性と同年代で、50という年齢がリアリティーを帯びてきて、なんか彼の気持ちに、えらく共感してしまったのだ。
そこで、今回は「40代のモヤモヤ」。ん? ちょっと違うか……。まぁ、いい。とりあえずは“49歳の男性”の複雑な、“胸の内”をお聞きください。