日銀は16日、最近の内需主導の景気回復で非製造業部門を中心に雇用の改善が短期間で進んでいるとする内容のリポートを発表した。輸出が主導したリーマン・ショック前までの景気回復と比べ、景気回復の期間が短いにもかかわらず、雇用を誘発する効果が同水準になっていると指摘。賃金の上昇により、これまで働く意欲の少なかった女性や高齢者の労働参加が増えているとしている。
景気回復局面の雇用誘発効果を見ると、2012~14年の3年間で30~35万人。02~07年の6年間の雇用増とほぼ同水準。前回の景気回復では輸出と設備投資による効果が約7割を占めていたが、今回は民間消費と政府支出が7割を占める。製造業の寄与が少ない一方で、製造業に比べて雇用の誘発効果が大きいサービス業が伸びていることで、景気回復の期間が短いにもかかわらず、雇用が大きく伸びているという。
雇用の増加の中身を見ると、女性や高齢者の労働参加が増えている。特に女性では出産・育児などで比較的労働参加率の低かった30代、40代が働きに出るケースが増えている。企業がパートの時給などを引き上げたことで、賃金に反応しやすい女性や高齢者の層が働き始めたという。また昨年4月に原則として65歳までの継続雇用が制度化されたことや、女性の働きやすい環境が徐々に整ってきたことも影響しているとしている。
こうした雇用は非正規雇用が多いものの、雇用者数全体の増加により、家計全体の所得は確実に増加。内需にも寄与していると分析している。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
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