(2014年6月13日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
デビッド・キャメロン首相は2017年にEU加盟の是非を問う国民投票の実施を約束している〔AFPBB News〕
英国は欧州の国だ。これまでもそうだったし、今後も常にそうであり続ける。欧州連合(EU)は英国にとって飛び抜けて大きな貿易相手であり、ロンドンは欧州の金融の首都だ。欧州の近隣諸国で起きることは、英国にとって常に重大な関心事になる。
だが、その一方で、英国の歴史は大陸欧州諸国の歴史とは違っている。海に守られた英国は、侵略を防ぐことができた。海の向こうのチャンスを求め、欧州が1人の独裁的支配者の手に落ちないよう全力を注いだ。英国はそれに成功した。
現在、英国はもはや世界的大国ではなく、欧州は平和裏に一体化している。法的には、英国はEUの内側にいる。心理的には、これまで以上にEUの外側にいる。要するに、英国は半ば分離しているのだ。その事実は、英国によるユーロの拒絶や英国独立党(UKIP)の台頭、2017年にEU加盟の是非を問う国民投票を行うというデビッド・キャメロン首相の約束に表れている。
英国の選択肢は、内側か外側の二者択一
この国民投票が実施されるかどうかは、来年の総選挙の結果による。野党・労働党の党首、エド・ミリバンド氏は国民投票に熱心ではない。だが、欧州における英国の立場という問題はなくならない。好き勝手に振る舞いながらEU市場への完全なアクセスを得ることは、英国が持ち得ない選択肢だ。
英国の選択肢はこうだ。独立性を強めて影響力を低下させるか、独立性を弱めて影響力を高めるか、どちらかだ。
欧州改革センター(CER)は6月9日、EU脱退の経済的影響に関する報告書を発表した(筆者はこの報告書を作成した委員会の一員だった)。その結論は厳しい。考えられる折衷案はどれも、EU内にとどまることから来る独立性の欠如と、その外側にいることから来る影響力の欠如を同時にもたらすというものだ。選択肢は「内側」か「外側」か、のいずれかだ。この2つのうちでは、前者の方がはるかに良い。
EU残留に代わる折衷案には、(ノルウェーのように)欧州経済地域(EEA)に加盟することや、(トルコのように)関税同盟に加盟すること、あるいは(スイスのように)2国間協定を締結することが含まれるかもしれない。
EEAの一員になったとすれば、英国は単一市場へのアクセスを維持できるが、単一市場のルール策定に対する発言権を持たない。もし関税同盟に加わるとすれば、英国は単一市場へのアクセスを失い、対外共通関税を受け入れなければならない。