韓国空手道の名門一家に横領スキャンダル

 大韓空手道連盟の創立者とその一族が連盟を食い物にして蓄財を重ねてきたことが分かり、ソウル東部地検は15日までに、連盟の元副会長、資金担当者(39・女性)を逮捕し、業務上横領の罪で起訴した。

 また、資金担当者の父で、連盟創立者の元会長(70)、創立者の長男に当たる審判委員長(37)、次男に当たる審判委員(32)、長男の妻(37)ら5人を在宅起訴した。

 今回摘発された元会長一家は、空手道の名門として知られていた。元会長は空手道公認9段、アジア大会で国家代表チームのコーチを務めた長男は6段、かつてアジア大会国家代表選手だった次男は5段で、娘も国家代表選手に選ばれたことがある有段者だという。

 検察によると、元会長一族は連盟が大韓体育会から補助金を受け取り始めた2006年1月から昨年11月まで総額5億4000万ウォン(約5400万円)余りを横領していた。この資金は本来選手に支給されるべき訓練手当であり、選手56人が1人当たり45万-1240万ウォン(約4万5000-124万円)の被害を受けた。

 元会長一族はまた、連盟と取引関係がある飲食店や貸切バス業者と共謀し、代金を水増しした上で、リベートを受け取っていたほか、家族を指導者として虚偽登録し、人件費を受け取ったり、選手の指導に当たっていないコーチに指導手当を支給したように装ったりする手口で、連盟の資金を着服していた。

 検察関係者によると、元会長は1962年に釜山で道場を開き、「韓国空手道界の生きた伝説」と呼ばれる人物で、韓国で空手道を志す選手ならば、大半が直接・間接を問わず、元会長の教え子に当たるという。

 元会長は64年に大韓空手道連盟を設立し、昨年まで長期にわたり初代会長を務めてきた。幼いころから空手道を志した3人の子どもも父とともに空手道の普及に当たり、2002年の釜山アジア大会以降は、国家代表選手、コーチ、審判などとして活躍した。検察関係者は「複雑に絡む師弟間の上下関係によって、元会長の一家の専横を防ぐ反対勢力が生まれなかったのではないか」と話した。

オム・ボウン記者
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