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与謝野晶子未発表の2首 津島で発見、直筆短歌

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 近代を代表する歌人与謝野晶子の直筆短歌5首が愛知県津島市で見つかった。1935(昭和10)年に津島市を訪れた際、書き残した作で、堺市立文化館与謝野晶子文芸館によると5首のうち2首は歌集や雑誌に収録のない未発表作品。また、NHK連続テレビ小説「花子とアン」で、主人公の親友・葉山蓮子のモデルとされる歌人柳原白蓮(びゃくれん)の直筆短歌7首も同時に発見された。

 いずれの短歌も短冊に書かれており、津島市の料理店「まのや」で見つかった。晶子研究で知られる日本文芸学会常任理事の入江春行氏(86)らが、筆跡から晶子の直筆と確認した。

 晶子は35年10月、津島高等女学校(現津島高校)の創立20年記念の講演会のため訪問。講演後に地元にある津島神社などを参拝した際、まのやに立ち寄ったとみられる。

 当時旅館だったまのやは、昭和初期に洋食のフルコースも出すようになった。女将の山田美代さん(67)によると、晶子は「スープが飲みたい」と訪問。「おいしい」と機嫌が良く、気さくに短歌を書いてくれたという。

 山田さんは約40年前にこうした経緯を学校関係者から聞いていたが、家族はこの話を知らず、短歌は見つからずじまいだった。今年4月上旬、山田さんが仏間にある棚を整理していたところ、紙の箱に入った複数の短冊を発見。「晶子」という文字が入っていたため地元の津島市立図書館に相談し確認につながった。

 筆跡を確認した入江氏は「洋食好きの晶子らしいエピソードもあり、未発表の2首は資料的に貴重だ」と述べた。

 紙の箱には柳原白蓮の短歌も入っており、東京都内に住む白蓮の長女宮崎蕗苳(ふき)さん(88)が直筆と確認した。津島市立図書館によると、見つかった短歌は「かねの音にむかしのひゝき聞ゆなり忘れしことを思ひいてよと」など7首。晶子の短歌と同時に保存されていた経緯や、未発表のものがあるかどうかは確認できていない。

 山田さんは「40年前に聞いた話は本当だった。ドラマで白蓮が注目されている時期に短歌が見つかったのは不思議な縁を感じる」と話している。

 <与謝野晶子> 明治から昭和初期にかけて活躍した歌人。夫は与謝野鉄幹で、堺市に生まれた。代表作の一つは1901(明治34)年に出した歌集「みだれ髪」。04年には日露戦争に行った弟の無事を願う詩「君死にたまふことなかれ」を発表した。評論活動にも力を入れ、女性の自立や女性教育の重要性も説いた。全国を旅し各地で歌を詠んだことでも知られ、関東や中部地方などに歌碑がある。42年、63歳で死去。

 (中日新聞)

 

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