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 安倍晋三首相は9日の参院決算委員会で、他国を武力で守る集団的自衛権を使うことについて「海外派兵は一般に憲法上禁じられているから、それはない」と答弁し、自衛隊を他国の領域に派遣しない考えを改めて示した。国連決議に基づき結成された多国籍軍に、自衛隊が物資補給や医療面などで支援する際についても「戦闘を目的として、武力行使を海外でやることはしない」と強調した。

 政府・自民党は集団的自衛権を使うことを認める閣議決定に向け、これらの制限を盛り込んだ「指針」を作る方針。首相はこの日も自衛隊が公海上で米軍艦を守るような事例を挙げ、「限定的」な行使を強調。改めて公明党や国民の理解を求める姿勢を示した。

 首相はまた、「個々の法律を作る場合、自衛隊を動かす場合、国会の関与が当然ある。それぞれで歯止めはなされる。法律ができた後には(時の内閣による)政策的な選択肢がある」と答弁し、法律や国会の関与が抑制的な対応につながるとした。だが、どんな状況で集団的自衛権を使うかは内閣の判断に委ねられるとも説明しており、実際に歯止めになるかは疑問だ。

 首相は「いま与党で議論している。議論が整えば閣議決定を行う」と改めて表明。慎重な公明党の理解を得たうえで、22日に会期末を迎える今国会中の閣議決定に改めて意欲を示した。