中間貯蔵施設:「最後は金目」発言で難航交渉に「憤り」も

毎日新聞 2014年06月16日 21時06分(最終更新 06月16日 21時29分)

福島県の佐藤雄平知事
福島県の佐藤雄平知事

 福島第1原発事故に伴う除染廃棄物を保管する国の中間貯蔵施設建設を巡り、「最後は金目でしょ」と発言した石原伸晃環境相に対し、福島県では16日、憤りの声が上がった。佐藤雄平知事は報道陣に「住民の古里への思いを踏みにじる発言。原発災害の厳しい状況を分かっているのか。信じられない」と批判した。

 環境省は中間貯蔵施設の建設候補地の大熊、双葉両町民への説明を15日に終えたばかり。そうした中での発言に、施設の受け入れの是非を巡って政治判断を求められる立場の佐藤知事は今後への影響について、「どういう真意で言ったのか、今後詳細を確認してみないと分からない」と述べた。

 大熊町から会津若松市に避難中で、建設候補地内に土地を持つ橘秀人さん(64)は「金の前に心の問題。生まれ育った土地を失う人たちの気持ちが分からないのか」と憤慨した。橘さんは14日に同市で開かれた住民説明会で、あいまいな説明を繰り返す国に「明確な答えを持って再度、説明会を」と求めた。計16回の説明会に石原環境相は一切出席せず、国の担当者は「大臣には意見を届ける」と強調していた。

 橘さんは「金は確かに大事だが、一つの要素でしかない。その前に『納得させてほしい』『そのプロセスをしっかり踏んでほしい』という気持ちで発言したが、やっぱり町民の声は大臣に全く届いていないようだ」とあきれた。【岡田英、喜浦遊】

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