2014年06月16日(月) 23時07分21秒

第12回TSUBASAシンポジウムレポート

テーマ:TSUBASAのイベントレポート
先日、6月15日オウムとインコの日にTSUBASAシンポジウムを開催しました。
12回目を迎えるTSUBASAシンポジウムは今回、チャリティーイベントとして開催されました。
今までTSUBASAを知らなかった方にも、鳥さんとの暮らしに何かよいヒントをひとつでも
持って帰っていただけたら、そしてTSUBASAの活動を
知っていただけたらとの思いを込めての開催です。

シンポジウムの様子を報告します。

梅雨の晴れ間、まるで真夏のような陽気の暑い中、お越しくださった皆さまありがとうございます。

スタッフとボランティアは早めに会場に入り、設営などの準備をしていましたが、
受付よりも早い時間に会場を訪れる方もいて、興味を持って
お越しいただいているようで嬉しかったです。



(早めに来るっていうのは聞き逃したくない、必ず聞きたい、よい席で!という気持ちの現れですよね??)
反面、受付が混雑したり分かりにくかったりしてしまい申し訳ありませんでした。

さて、講演の内容です。


●講演(1)望月健人(TSUBASA) 「止まり木から繋がる絆」 ~鳥と山を守る相互プロジェクト始動 ~


山林は適度な伐採などで人が手を入れないと逆に荒廃して、土砂災害の原因になってしまうこともあるそうです。かつて機能していた人と自然との関係を取り戻そうと活動されているNPOと鳥のレスキュー団体TSUBASAが協力し合えるプロジェクトについての講演でした。
山林の伐採などで落とされた木の枝は、そのまま捨てるのではなく薪などに利用するそうですが、その他にも用途があれば…というなかで鳥さんの止まり木やオモチャに利用するという出会いがありました。
廃材になるところを鳥さん用品としての再利用することは資源の有効利用になるし、かじるのがお仕事のような鳥さんにとってその「かじる」ことがまさに資源の有効利用という社会貢献の「お仕事」になるのでは?という提案にとても新鮮さを感じました。
プロジェクトはまだ途中ですが今後の展開に期待を持っています。
望月さんの「千葉のCAKがあった頃は施設の回りの竹藪などから止まり木やオモチャ用の資材を調達していたけれど、ある意味回りの自然を手入れしていたのかも知れません」との言葉が印象に残りました。






●講演(2)涌井智美(TSUBASA理事・事務局 長) 「動物を手放す時、鳥を引き取る時」

TSUBASAにいる鳥さん達は、いろいろな問題を抱えた飼い主さん達から引き取られてきました。
問題だけを取り出してみると、酷い飼い主のように見えてしまうけれど、実際の引き取りの現場での経験から、その問題は実は今鳥を飼っている又は飼おうとしている方たち誰にでも起こりうることという指摘、その問題が起こることを想定した日々のお世話や環境作りの重要性、鳥さんとの関係作りの必要性についての講演でした。
鳥さんの寿命が長いことにも触れ、自分が若いうちでないと大型の鳥さんは難しいのでは?という意見も、実は見方を変えると若い方ほどその先の生活の変化(就職や結婚など)があり、先に述べた「問題」の可能性が高いとも。
寿命は要因の1つでしかなく、寿命の長い鳥さんなら飼い主が変わる(オーナーチェンジ)ことを視野に入れて、鳥さん自身の健康維持、また、ストレス耐性や社会性を身に付けてあげることも重要との話になるほどと思いました。
私自身も、TSUBASAに引き取られざるを得なかった鳥さん達に、自分の愛鳥を重ねて、自身の問題でもあることに改めて気付かされ、思わず涙がこぼれてしまいました。






●講演(3)石綿美香様(D.I.N.G.O副代表) 新居和弥様(D.I.N.G.O代表)

「愛情と科学」 ~3つの重要な鍵 : 待つ、見る、伝える ~


しつけは人任せでは立ち行かないこと、行動は日常の中のものなので飼い主自身の行動や環境を整えない限り改善は難しい。つまり自分でやって自分が変わるしかない。ではその方法は?という内容をお2人が掛け合いのように話すユーモアたっぷりの講演でした。
お2人によるとトレーニングとは、2題目の涌井さんの話とリンクしますが、飼い主が変わる(オーナーチェンジ)ことを想定して「いつでもどこでも誰とでも楽しくコミュニケーションできる」ようになるためのものという位置付けです。
鳥さんにとってふつう未知のものは恐いもの。少しでも自分に危害が及びそうなら飛び去ってしまいます。でも慣れてくれば好奇心が出てきて近づいてきてくれるかもしれない。それを鳥さんのペースに合わせてじっと待つことが人側のできること。
また鳥さん側も相手を細かく観察し、「とても礼儀正しく冷静」と表現されていました。その例の動画が流れましたがなるほど興味ある相手に対してよく見ており少しでも嫌がられればすぐ身を引き少しずつ少しずつ距離を縮める鳥さんの姿がそのままトレーニングのお手のようでした。
また、新居さんの「愛情は電気のようで直接注いでは感電してしまう。でもそれを使ってヒーターを点けたり明かりを点けたりすることで快適さを提供できる。愛情を有効な形に変換するのが科学的根拠」という例えが印象的でした。






●講演(4)真田直子先生(小鳥の病院バード ハウス院長) 真田靖幸先生(CBL代表) 「鳥にもメタボ?!あなたの鳥は大丈夫?」 ~飼鳥にみられる生活習慣病につ いて~

こちらは前半に真田靖幸先生が生活習慣病(これは鳥に限った話ではなく人も意識せざるを得ない問題で身につまされます。終わってから会場のあちこちから耳が痛いとの声が…)について、肥満から始まってメタボリックドミノに至るまでの静かな(特徴的な症状はないままの)進行を解説。後半は真田直子先生が肥満にさせないための生活習慣、主に食生活について解説されました。
肥満は予防こそが最大の治療、生活習慣のひとつ食生活での問題点をシード食、ペレット食の両方について駆け足ながらもポイントを押さえて説明されました。
各鳥種の必要なたんぱく質、脂質、エネルギー量と、各種シード類、ペレットの含有量の一覧を示し、シードでは不足しやすい成分があることやペレットの処方食はどのような成分割合なのかについてもお話されました。
よく言われる「成分をよく見て選ぶ」ということが大事だと改めて思いました。
日々を健康に送るため、よい食事を提供できるのは飼い主さんだけ。鳥さんの食事に飼い主さんが責任を持つことを強く意識させる内容でした。
喜ぶからと体によくない食べ物を与えるのではなく、体に良いものを選ぶというのが、3題目の新居さんの仰ってた愛情を有効な形にする科学的根拠に立った視点とリンクしました。





◆ BirdTalkショー
4つの演題が終わったあとはゲストに森泉さんを迎えて鳥爺こと松代表とのトークショーでした。
あらかじめ皆さんからいただいた質問に沿って、森泉さんの(人間以外の)家族の紹介やたくさんの鳥や動物と暮らす日常のお話をしてくださいました。
森泉さんは松さんを「鳥爺」呼んで楽しく鳥さんの話をされ、鳥好きとしてとても親しみを感じました。
日曜大工が得意な森泉さん、鳥さんの止まり木などもやっぱり手作りですがその材料調達はなんと公園などの木の伐採で落とした枝を譲り受けたりするそうです。1題目の望月さんの話と似ています。
たくさんの動物と暮らしているのでお世話も大変かと思ったのですが、動物達も家族として居るのが当たり前、大好きで大切な家族だから人に任せきりでなく自分がやる。もちろんできないときは(人間の)家族の力も借りて。そしてみんなに幸せなよい環境を作れるようにしたい。と人も動物も両方のQOL向上を自然にやられているようで素敵でした。










◆支援の羽寄付コーナー
今回、36名の手作りご提供者様とたくさんの素晴らしい作品が
シンポジウムを彩りました。
素敵な作品は全て、無料でTSUBASAにご提供いただいたものです。
支援の「羽」が「翼」(TSUBASA)を支えてくださるというこの方式で、
こんなにもたくさんの方から応援していただけると思っていませんでした。

本当にうれしかったです。






◆大抽選会
プログラムの最後は大抽選会、今回くのクリエイターさんに協力をいただいて、
とてもたくさんのプレゼントが集まり抽選方式も凝ってみました。
市販の鳥グッズも増えましたがやはりクリエイターさんの作品はどれも魅力的。
抽選会はやっぱり盛り上がりますね。




鳥達のための寄付をすると抽選権と交換になります。
好きな番号のプレゼントの抽選箱に抽選券を入れて、商品ゲットを目指します。


 どの商品にしようか悩んでしまいます。


 抽選箱からは講師の先生がクジを引いて下さいます。

先生方、そして森泉さん商品のご提供ありがとうございます。
そして、支援の羽によって抽選会は成り立っています。
ご支援くださった皆様、本当にありがとうございます!!


最後に、
愛情を履き違えないこと、今だけでなく未来も見据えてできること、そして何より人も鳥も楽しくやることとその具体例が、4題の講演とトークショー全てに一貫して流れていたように感じます。

講演してくださった講師の方々、トークショーに出演してくださった森泉さん、支援の羽としてグッズを提供してくださったクリエイターの方々、準備してきたスタッフとボランティア、そして当日足を運んでくださった皆さまに感謝します。
ありがとうございます。

※オマケ
当日会場にこられた皆さま、服やバッグ、小物、アクセサリーなどなど目立ったり目立たないところに鳥さんモチーフがあふれていました。
デザインもステキで羨ましいばかり。
数えたら一体何千羽の鳥が居たんでしょうね?

(レポート担当 TSUBASA理事会)