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秘密

快楽亭ブラックの黒色映画図鑑
掲載日2009年05月29日
「秘密」 (ひみつ)
監督:滝田洋二郎 出演者:広末涼子/小林薫/金子賢/岸本加世子 1999年

東野圭吾原作、滝田洋二郎監督の傑作

エー、落語のネタにもはやり、すたりってのがありまして、昔はよく口演されていたネタが、今ではまるで演る人がいなくなっちゃう。あっしは今年が落語家になって40年、それ以前あっしがまだ落語ファンだった頃によく口演されていたのが『魂の入替え』。人間が寝ている間に魂が体を離れて遊んでいるんですが、元に戻る時に間違えて他の人間の体に入っちゃった。その為に性格が変って大騒動になるというナンセンスな噺で面白かったんですが、「そんな馬鹿な噺はない」とどの落語家もこの噺をやらなくなっちゃった。小説や映画では今でも人気があるジャンルなのに、落語家がこのネタを否定する。山田洋次監督がよく言う通り、落語はリアリズム芸術なんですな。
 映画でこの手の物語といえば一番有名なのが大林宣彦監督の代表作『転校生』であります。今月放送の『秘密』も同じく魂の入替えそのものなんですが、この場合、スキー旅行に行った母娘のうち娘の魂が死んで娘の体に母の魂が入ってしまったからややこしい。夫の小林薫は、娘(広末涼子)の体を持つ妻(岸本加世子)、この秘密を誰にも言えずに苦悶する。
 映画の中で娘(つまり妻)が夫にSEXを求めるが、娘を抱くのに抵抗があって夫は拒否するというシーンがあります。あっしが考えるに、この夫はA型でモラルに縛られてますな。あっしのようなB型だったら平気で娘の体を持つ妻とSEXするけどなあ。東野圭吾原作、滝田洋二郎監督の強力タッグの傑作ですぞ。

( 書き下ろし )

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快楽亭ブラック プロフィール
快楽亭ブラック

1952年、東京生まれ。
69年、立川談志門下に入門。92年、二代目・快楽亭ブラックを襲名して真打昇進。
2000年度 芸術祭 優秀賞受賞。

放送禁止用語を連発する過激なネタにファンも多いが敵も多く、出入り禁止になった寄席は数知れず。
趣味は映画、歌舞伎鑑賞、プロレス、競馬観戦、そして風俗と幅広く網羅。とくに映画に関しては、14年連続で年間365本以上の作品を鑑賞する、日本イチの映画通を自認。
その情報量に裏打ちされたホンネの映画批評は、「週刊SPA!」で'信頼できる映画評論家ナンバー1'に選ばれるほど高い評価を受けている。「映画秘宝」(洋泉社)、「TVタロウ」(東京ニュース通信社)にコラム連載中。著書に「日本映画に愛の鞭とロウソクを」(イーハトーヴ出版)。

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