10月といえば衣替えの月でもあり、ハロウィンの月でもありますね。月末にはユニークな衣装に着替えて、近所のお宅を「トリックオアトリート」と言いながら戸別訪問してみてはいかがでしょう?(あ、でも通報されたらシネ掘りに影響されたとは口が裂けても言わないでね!)
というわけで今回はハロウィンの仮装のアイデアでお困りの方に、過去のシネ掘り紹介作品から真似するとウケそうな仮装を選んでみました。
■監督:ジョエル・バークヴァル、サイモン・サンドクイスト
■出演:サラ・ミシェル・ゲラー、リー・ペイス ほか
2011年4月20日リリース開始(ポニーキャニオン)
さあ、みなさんの仮装は決まりましたか? ……えっ、どれも恥ずかしくて実行できるかって? そんな弱気なことでどうするんですか! ほかの人間なんてね、みーんなカボチャだと思えばいいんですよ、ハロウィンだけに!!
さあ、ネタの衛星破片がうまく落ちたところで、作品紹介いってみましょう。今回は衣替えにふさわしく『シャッフル2 -エクスチェンジ-』……といっても、替わるのは衣服ではありません。かつてサンドラ・ブロックが主演した『シャッフル』という映画では、平凡な主婦の1週間の曜日が突然シャッフルされ、燃えるゴミの日に資源ゴミを出してしまう、『おひさま』のストーリーがメチャクチャになるなどの悲劇に見舞われる話でしたが(大部分ウソです)、今回の『2』は兄弟の記憶が替わってしまう? そして翻訳は、第37回の『ネバー・バックダウン』以来となる「字幕・吹替どちらも修了生」のスーパータッグでお届けします!
これまで「入れ替わりもの」といえば、『転校生』のように男女が入れ替わる、『秘密』のように母娘が入れ替わる、某た○し軍団の芸人と父親が受験で入れ替わるなどさまざまなパターンがありましたが、今回入れ替わる(?)のは兄弟です。それも「ザ・たっち」や「山上兄弟」が入れ替わったくらいでは誰も気づきませんが、もしも正反対の性格をした兄弟だったとしたら……?
若き女性弁護士のジェスは優しい夫ライアンと何不自由ない幸せな暮らしを送っていました。実はジェスはライアンの弟ローマンを弁護したことがあり、それが縁でライアンに出会えたので義弟には感謝すべきところですが、当のローマンは「その男、凶暴BROTHERにつきアウトレイジ」って感じのアブない前科者。まさに北野大センセイと武カントクのように雲泥の差がありました。しかもガールフレンドがいるくせにそっちはおざなりにしてライアンの家に居候する始末。早く出てってよ!としびれを切らしたジェスがみのもんたに電話で相談しようと思った矢先、思わぬ事故が起こります。
なんと車で家出した弟ローマンを同じく車で兄ライアンが探していたところ、視界の悪い橋の真ん中で二人の車が思いっきり正面衝突してどちらも意識不明の重体に! それだけでもアンビリバボーな偶然ですが、さらに不思議な展開が待っていました。しばらく経って弟ローマンだけが意識を取り戻し、例のアウトレイジなキャラで「昔のバイク事故より痛えなコノヤロウ!」と言うかと思いきや、なんと彼は自分を兄ライアンだと思い込んでいるようです! こ、これは兄上……じゃなかった、何ゆえ?
その後ジェスがローマンを引き取ることになりますが、ローマンはすっかりおとなしくなり、庭いじりをしたり彫刻をしたりと、まさにライアンが乗り移ったかのよう。その草食系っぷりには、江をめとった二代目将軍秀忠もかないません。そのうちメンズビオレを使いだし、『an・an』の誌面を飾るにちがいないでしょう。
自分をライアンだと言い張るローマンは当然ながらジェスを妻として愛そうとしますが、ジェスはまだ半信半疑。夫の中身が抜け出て弟に入り込むなんてありえないわ、だって幽体離脱ができる兄弟はザ・たっちだけなんだから!
しかしその後もローマンはジェスに献身的な態度をとり続け、夫婦しか知らないはずの思い出話を語ります。そしてとうとう、ローマンの「♪会いたかった〜、ジェス! き〜み〜に〜」と言わんばかりのローマンティックな愛に身を委ねることにしたジェスは、待望の新しい命を身ごもることに。これからはローマンを本当の夫として、幸せ家族計画を描いていこうと決めたそのとき、あることをきっかけに大きな疑惑が生まれます。果たしてローマンは夫の入れ替わり? それともただのなりすまし? このユーザーとの交際ステータス、承認しちゃってもイイネ!と思うかどうかはあなた次第です!
兄弟がエクスチェンジしちゃったのか否かが本作の最大の謎ですが、その謎に翻弄されるのが『バフィー』『ラストサマー』などで女子力満開だったサラ・ミシェル・ゲラー。いつの間にか人妻のキャリアウーマンなんか演じちゃってるわけですが、でもまだ可愛らしさが健在なのでエクスチェンジどころかノーチェンジです!
そしてそして、今回のしねまるは宇宙一スケールのでかいあの兄弟とシャッフルだ!
二転三転し、先の読めない物語&予想外の結末にどんどん引き込まれていくような作品でした。先の展開で鍵となる要素があちこちにちりばめられているところも、よくできているなと唸らせられました。翻訳の際には何度も繰り返し作品を見て、その部分をきちんと拾い、適度な加減でほのめかすということに気をつけました。1つでも見落としてしまうとせっかくの面白さが半減してしまうので。それにしても弟役のリー・ペイスの演技力には脱帽です。演技のプロだから当然なのですが…まるで違う人物を見事に演じ分けていると思います。
◆PROFILE:単科・映像翻訳コースを修了。映画『お家をさがそう』『3時10分、決断のとき』『エンター・ザ・ボイド』、TVドラマ『デクスター』『glee/グリー』などの字幕翻訳を手がける。現在は沖縄の地で翻訳生活を満喫中。
兄は繊細で心優しい芸術家、弟はムショ帰りの乱暴者。そんな正反対のふたりがゴールデン・ゲート・ブリッジ上で正面衝突! なんと人格が入れ替わってしまった…。って、大林宣彦監督の名作『転校生』以来おなじみの展開で始まるこの作品。サスペンスかと思いきや、むむ、オカルト?とも思わせ、エンディングはほんのりスピリチュアル系(?)。サラ・ミシェル・ゲラーが弁護士に見えないとかいうことには目をつぶって、美男美女をお楽しみください。
【以下ネタバレを含みます】
人格がシフトするシーンでは、どのタイミングで一人称を「僕」から「俺」に切り替えるか迷いました。結局、収録の現場ではタイミングを決めず、役に入り込んだベテラン声優さんのお芝居のタイミングで自然にシフトさせてくださいました。さすがです!!
◆PROFILE:フェローの単科・映像コースを修了。映画『ザ・ファイター』『エグザム』『ホテル・ルワンダ』(吹替)『ゴッド・イン・ニューヨーク』(字幕)、TVシリーズ『フロスト警部 ニューシーズン』『マードック・ミステリー』『パワーレンジャーS.P.D.』(吹替)など幅広く翻訳を手がける。
いかがでしたか? しつこいようですが、年に一度のハロウィン、せっかくなのでみなさんもハデに仮装して普段と違うキャラに入れ替わってみましょう! あ、仮装といえば、以前にシネ掘りで使ったスクリームのマスクとフレディの爪が余っています。近々燃えるゴミに出す予定なので、欲しい方は早めにテレパシーで教えてくださいね!