[表]日韓関係をめぐる安部首相の発言など

―――今回、韓国の新聞に、朴槿恵大統領の「反日」姿勢を諌める論説が掲載された。
 そういう論説が一般的に広がっているという話ではない。朴槿恵を諌める論説を書いている人たちは、決して「親日」のレッテルを貼られるおそれのない人々。普段から日本に対し、厳しい姿勢をとっているからこそいえる。

―――朴槿恵大統領は就任以来、中国優先の外交姿勢を見せている。
 「反日」は中国へのメッセージでもある。韓国がなぜ「反日」姿勢を継続できるかというと、国際社会で「日本は衰退勢力だ」という見方が有力だから。韓国の経済にとっても、中国との関係維持が重要と考える人が多い。しかし、いずれ中国経済が悪化すると「中国だけに頼っていてよいのか」という意見が韓国でも出てくる。

―――首脳会談が実施される見込みはあるか?
 首脳会談がいずれ実施されるのは確実だ。朴政権としては来年の韓国統一中央選挙や、「左翼」との戦いが一段落したタイミングを想定している。

―――安倍政権が今後取るべき対韓外交方針は?
 多くの人は、外交や政治を「何かをする」ことだと思い込んでいる。しかし、「何かをしない」というのも、政治や外交において重要な選択肢の一つだ。安倍政権は韓国側の状況が整うまで、ある程度距離を保ちながら待つべき。状況が整えば、両国の外交担当が自ずと首脳会談への道筋をたてていく。


重村 智計(しげむら としみつ)
1945年、中国に生まれる。早稲田大学卒業。1971、毎日新聞社に入社、79年から85年までソウル特派員。ワシントン特派員時代には、米朝核交渉で数々の国際的なスクープを報じる。この間、高麗大学大学院、スタンフォード大学へ留学。毎日新聞論説委員を経て、早稲田大学国際教養学部教授。最新刊は 『激動!北朝鮮・韓国そして日本 歴史的必然と日本の選択』(実業之日本社)。『月刊 WiLL』に『朝鮮半島通信』を連載中。