親族ら10人を骨折させ保険金詐取、「猟奇的な兄妹」逮捕

姉の鼻折り、顔に刃物で傷つけ5億ウォン
同居男の指折り脊椎手術で4億ウォン
5年間で保険金30億ウォンだまし取る
病院院長が偽診断書発行

親族ら10人を骨折させ保険金詐取、「猟奇的な兄妹」逮捕

 「ハンマーで鼻の骨にうまくひびを入れれば、それほど大きなけがでなくても億単位(1億ウォン=1000万円)の保険金が受け取れるよ」

 こうした話を聞いて身近な人々の鼻を折ったり、刃物で顔を傷つけるなどして5年間に保険金30億4400万ウォン(約3億円)をだまし取った家族詐欺団が摘発された。これを指南した整形外科院長も一家に不要な脊椎手術をして虚偽の診断書を発行するなど、犯行に加担していたことが明らかになった。

 政府合同保険犯罪専門対策チーム(団長:イ・ジュヒョン・ソウル中央地検刑事第4部部長)は15日、自分の家族・恋人・友人などの体を傷つけることで2008年から12年までに保険金を詐取していた男(52)と妹たち、これをほう助した医師ら8人を拘束、7人を摘発して捜査を進めている。この容疑者たちの詐欺は「猟奇的」といえるものだった。

 主犯の男は犯行を企てて総括し、男の2番目の妹(40)は「骨折担当」だった。2番目の妹は08年10月、まず自分の左手親指と人さし指の骨をハンマーで折る「実験」をした。実験に成功して億単位の保険金をだまし取ると、今度は姉とその恋人を引き込んだ。11年に姉(男のすぐ下の妹、48)の鼻を折り、額を刃物で傷つけ、何の異常もない腰を手術して保険金を5億ウォン(約5000万円)奪った。翌年には同居中の男(41)と共に「登山中に転倒した」という話をでっち上げた。二人は実際に山中で額と両頬に10センチ大の傷を作り、ハンマーで指の骨を折った上で救急車を呼んだ。救急病院に運ばれて治療を受けた後、あらかじめ口裏を合わせていたK整形外科で脊椎の手術を受け、合計4億3000万ウォン(約4300万円)を手にした。

 こうしたやり方で、男の妹たち・いとこ2人・友人まで加え合計10人の顔・指・鼻に傷を付けたり、腰の手術を受けたりするなどして、それぞれ2億-4億ウォン(2000万-4000万円)をだまし取った。容疑者らは「カラオケ店で扇風機を取り付けようとして落とした」「建設現場で働いていてはしごから落ちた」「ビアホールで絵の額縁を掛けようとしていて落とした」などと説明していたという。男と妹たちは体を傷つけた人々に保険金の70%を渡し、残り30%を手数料として受け取っていた。

 主犯の男は、自分の体には一切傷を付けず、金だけを手にしていた。男と妹たちに体を傷つけさせたほかの容疑者たちは、受け取った保険金を借金返済・生活費・結婚資金などに使ったと供述している。その一部は指を切断したり、不必要な手術で腰に障害が出たりしたが、今回摘発されたことで保険金を全て返さなければならない状況となった。

 男と妹たちは医師・病院関係者・弁護士事務所の事務長といった「専門職」の人々も取り込んでいった。京畿道にあるK整形外科の院長(44)=拘束=は虚偽の診断書を作成し、不必要な腰の手術をしている。弁護士事務所の事務長(54)=拘束=は男と妹たちに「疑われずに保険金を手にする方法」について助言していたことが捜査で明らかになっている。

柳井(リュ・ジョン)記者
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