中国JH7訓練中に墜落 ――相次ぐ事故、7機目
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西風東風
中国JH7訓練中に墜落 ――相次ぐ事故、7機目
中国海軍の戦闘爆撃機「JH7」(殲轟7)が6月5日午後10時37分ごろ、夜間訓練中に、浙江省義烏市南部の山中に墜落した。乗員2人は死亡したとみられる。7日付香港紙・明報によると、同型機は事故が相次いでおり、過去18年間で墜落したのは今回が7機目となる。
墜落地点は同市赤岸鎮官余村付近で、中国海軍がヘリコプターを出し、機体の捜索を続けている。墜落地点周辺の道路は6日午前10時現在、閉鎖されている。
殲轟7はフライイング・レオパルド(飛豹)の愛称で知られ、1988年、中国西安飛機製造集団が自主開発した。双発、複座、超音速、全天候型の戦闘爆撃機で、中国最先端の飛行、火器コントロールシステムとレーダーを備え、縦深侵攻や海上、地上の目標の攻撃に用いられる。
旧ソ連基準では第4世代、米国基準では第3世代の戦闘機に属し、主に海軍航空隊に配属されている。同型機は事故をしばしば起こしており、96年の配備以来7機が墜落、搭乗員13人が死亡した。2011年11月にも海軍航空隊所属の1機が浙江省麗水市付近で墜落した。
海軍軍事学術研究所の張軍社研究員は、中国紙・京華時報に対し「飛行訓練中の事故は避けられず、正常な現象といえる」と述べた。
訓練の回数が増え、時間が延び、難度が増すごとに、事故の確率も高まる。中国海軍航空隊は各種の対策により事故の発生を減らしており、世界各国に比べ中国軍での事故発生率はかなり低い方だという。
張研究員によると、今回の事故から見て海軍航空隊の日常訓練は実戦に近づいている。戦闘は白昼、深夜、明け方などいつでも起こり得るので、勝つためには厳しい条件下での訓練を強化する必要があり、夜間訓練は欠かせない。また、白昼の訓練を積んだ後、夜間訓練に移行するなど、易から難へとプログラムが組み立てられている。
張研究員は、中国の戦闘機には射出座席装置が備わり性能も良好で、搭乗員の安全を保障している。ただ、充分な高度がないとパラシュートが開く余裕がなく、死傷する危険が高まるとしている。(香港=中岡秀雄)
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