繁閑への対応はすべてのビジネスにおいて重要だ。リゾート施設運営の星野リゾート・トマム(北海道占冠村)が手掛け、人気となっている「雲海観賞」(同)も起点はシーズンオフの夏場にどう客を呼び込むかだった。課題解決の過程で経営陣は対話力、現場はアイデア力に磨きをかけ、企業活性化の源泉としている。
■従業員のアイデアを形に
5月17日、観賞用施設「雲海テラス」の今シーズンの営業を始めた。週末の天候はあいにくの雪。ゴンドラに乗ってトマム山頂付近でおりると、季節外れの銀世界が広がっていた。雲海は出ていないが、家族連れや若い女性グループが続々とやってきた。島根から来た会社員、角佳奈は「残念だったけど、北海道の自然を楽しむことができた」と満足そうだった。
雲海は山や飛行機など高い場所から見下ろしたときに雲が海のように見える自然現象。トマムは日高山脈に囲まれた盆地で、太平洋で発生した雲が山脈を越えて流れ込むため発生しやすい。2013年度の来場者数は11万人と前の年度に比べて15%増えた。
1983年開業のトマムはスキー客に焦点を合わせた施設だった。バブル期の過剰投資が響き、開発・運営会社が破綻。05年に星野リゾート(長野県軽井沢町)が全面的に運営を引き継いだ。トマム総支配人、佐藤大介は「最多で1日2500人が泊まる巨大施設にもかかわらず、冬季のみで利益をあげようとするビジネスモデルには無理があった」と振り返る。収益力の低さから設備投資をする資金がなく、建物の老朽化が進み、サービスも低下していた。
星野がまず着手したのが夏観光のテコ入れだ。冬は良質な雪が降り、全国からスキー客が集まる。しかし、夏は目玉がゴルフやラフティングしかなく、観光素材の発掘を第一の課題と考えた。重視したのは現場力。上からの押しつけではなく、顧客に最も近い従業員のアイデアを活用することにした。雲海観光も従業員の発案がきっかけで、ゴンドラの到着駅付近にテラスを設置、06年から本格的に売り出した。
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