新しい国務総理(首相)に指名された文昌克(ムン・チャングク)氏が15日午後、ソウル市内の政府庁舎別館で、これまで問題となってきた自らの発言やコラムについて謝罪と弁解を行った。自らの発言をめぐる問題に文氏が直接言及するのは今回が初めてだ。
■予定にはなかった突然の謝罪と弁解
文氏はこの日、あらかじめ準備していたA4用紙4枚分の発表文を読み上げ「帝国主義・日本による植民支配と南北分断は神の意思」とした2011年のオンヌリ教会での講演について「一般の歴史認識ではなく教会内で、それも同じ信仰を持つ信徒たちと意見を交換した場で語った宗教的な認識だった」と説明した。また「日本軍慰安婦問題について日本から謝罪を受ける必要はない」とした発言については「本意とは異なり心に傷を受けた方々がいるという事実を知った。その方々に心から謝罪したい」と述べた。
また故・金大中(キム・デジュン)元大統領と故・盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領について書いた自らのコラムについては「(金元大統領の)家族とその方を愛する全ての方々を大きく失望させたのは事実だ」「(盧元大統領の)遺族と国民に不快な思いをさせたのであれば、非常に申し訳ない」などと述べた。文氏はさらに「『朝鮮民族は怠惰』としたのは自分の言葉ではない。英国の王立地理学会会員だったビショップ(イザベラ・バード)氏の1894年の紀行文に出てくる言葉だ」とした上で「朝鮮における当時の為政者や両班(ヤンバン=朝鮮王朝時代の貴族階級)たちの行動と身の処し方について指摘したものだ」と説明した。文氏は「今問題となっているのは全て、かつてジャーナリストだった当時に行ったジャーナリストの立場からの発言だった。政府で責任を持つようになれば、それに見合った役割と行動を取るべきだと信じる」と訴えた。
■政権次元で聴聞会突破を意図しているとの見方も
文氏がこの日、予告なしに突然謝罪と弁解を行った理由については、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領の海外歴訪を翌日に控えているという事情を踏まえ「自ら候補辞退はせず人事聴聞会も正面から突破する」という政権次元での意向が作用したものと伝えられている。つまり任命同意案の国会提出を前に、事前に世論を落ち着かせる準備作業の一環として行われたものと解釈できそうだ。