[PR]

 

 ●個人線量にも着目

 環境省の井上信治副大臣は15日、今後の除染の目安などについて1カ月以内に国の方針を示すと明らかにした。同省や福島市など4市が専門家を交えて福島市で開いた、除染のあり方に関する意見交換会で発表した。これまで除染の目安では考慮していなかった、個人の被曝線量にも着目するという。

 意見交換会に参加したのは福島市のほか郡山市と相馬市、伊達市。それぞれ独自の計画に基づき除染している。この日は「何を基準に除染すべきか国がしっかり判断を」(小林香福島市長)「国が基準を示さないと市民は安心できない」(仁志田昇司伊達市長)との要望が相次いだ。

 福島市をはじめ県内の自治体には、「毎時0・23マイクロシーベルト」を長期的な除染目標とするところが多い。これは、長期的な県民の被曝の低減目標である年1ミリシーベルトを空間線量に換算した数値として、国が例示しているものだ。ところが、国は「この数字は除染の目標ではない」と否定。その一方で、具体的な数値目標は示していない。

 井上副大臣は、年1ミリシーベルトという長期的目標は変更しないとした上で、「もっと個人線量を活用し、国の方針をまとめたい」と話した。

 

 「個人線量」は一人ひとりが実際に被曝する線量。この日、伊達市は、市民約5万2千人の調査から、個人線量と空間線量の関係を発表。政府の例示する「空間線量の毎時0・23マイクロシーベルトが個人線量の年1ミリシーベルトにほぼ相当」に比べ、空間線量が約2倍高い状態が、個人線量の年1ミリに相当する、と示した。

 この知見を使えば、空間線量がこれまでの2倍多くても、長期的な個人の被曝目標を達成できるという計算になり、実質的には除染の目安の緩和となる。除染の簡素化などにつながる可能性がある。