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【スポーツ】

吉田沙保里が新階級でもV

2014年6月16日 紙面から

女子53キロ級決勝、入江ななみ(下)を破り優勝した吉田沙保里=代々木第二体育館で(田中久雄撮影)

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◇レスリング全日本選抜選手権<最終日>

 ▽15日▽東京・代々木第二体育館▽男子フリースタイル3階級、同グレコローマン4階級、女子フリースタイル3階級▽世界選手権(9月、ウズベキスタン)、仁川アジア大会(9〜10月)代表選考会を兼ねる

 女子フリースタイル53キロ級は吉田沙保里(31)=ALSOK=が決勝で入江ななみ(19)=九州共立大=に8−2で判定勝ちし、昨年までの55キロ級に続いて2年連続4度目の優勝を果たし、15連覇が懸かる世界選手権代表に決まった。吉田は4連覇が懸かるアジア大会にも内定済み。同58キロ級は伊調馨(30)=ALSOK=が昨年までの63キロ級に次いで連覇し、世界選手権代表に。男子フリースタイル57キロ級は2010年ユース五輪54キロ級王者の高橋侑希(20)=山梨学院大=が初優勝し、プレーオフも制して初の代表を手中にした。

 新階級でも、吉田はやはり強かった。しかも53キロ級での一歩を刻んだのは、くしくも父の日。3月に父・栄勝さんを亡くした女王は、かみしめるように言った。

 「最後に2点取られたから、そこはお父さんに怒られるかな。でも勝てたので、父の日に天国のお父さんへいい報告ができた」

 決勝の相手は、12歳年下の入江。開始約10秒で鋭いタックルを見舞い、4点を先取した。8−0とリードして第2ピリオド終盤を迎えたが、残り10秒を切って不覚。飛び込んできた入江をいなせず、2点を失った。

 「パワーは問題ないけど、53キロ級はスピードが速い。少し戸惑った」。3月に出場した国別対抗戦のW杯で53キロ級は経験したが、計量で2キロオーバーが許された。新階級は今大会が事実上初めてで、吉田といえど身軽な選手たちの素早さには面食らった。

 ただ吉田は「人間だからポイントは取られるし、体調面では問題ないので」。もともと食が細く、53キロ級でも減量苦とは無縁だ。

 「(練習する)至学館大には48キロ級で素早い子もいるし、一緒に練習して、少しずつ慣れていければ」。まだまだ新階級への順応の課程。きっちり勝ち切ったことに価値がある。

 試合後の表情にも、不安は見えない。サッカーW杯の話題を振られると、「逆転負けで残念。でもサッカーもいいけど、あしたの新聞は(レスリングを)でかく載せてね」。そう言って朗らかに周囲を笑わせた。

 9月の世界選手権では、前人未到の世界大会15連覇が懸かる。「53キロ級でも連勝記録を続けて、リオまで突っ走りたい」。上々の一歩を踏み出した女王。新階級の歴史を、少しずつ紡いでいく。 (青山直樹)

 

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