【W杯】日本には本田がいる!左足一閃、超完璧弾!逆転負けも「次や、次」連勝しかない
◆ブラジルW杯第3日 ▽1次リーグC組 日本1―2コートジボワール(14日・レシフェ、ペルナンブコ・アリーナ)
日本が1次リーグ初戦でコートジボワールに1―2と逆転負けし、黒星スタートとなった。前半16分、MF本田圭佑(28)=ACミラン=が左足で先制。10年南アフリカ大会に続く2大会連続得点、W杯通算3得点目で、ともに日本代表史上初のメモリアル弾となったが、後半19分と21分に失点した。過去のデータでは、ベスト16進出には残り2試合(日本時間20日・ギリシャ、同25日・コロンビア)での連勝が条件となりそう。エース本田が新たな歴史をつくる。
ロッカールームに本田の声が響いた。「次や、次!」。チームメートも「切り替えていこう!」と続いた。W杯初戦でコートジボワールのパワーに押し切られ、逆転負け。目標の「W杯優勝」どころか、1次リーグ突破も厳しくなった。本田はギリシャ戦へ向け、すぐにチームを鼓舞した。
歴史に名を刻んだ。前半16分、左サイドDF長友がゴール前にパス。本田が右足でボールをエリア内のスペースに出し、左足を振り抜いた。ゴール左上に突き刺さる。相手GKが一歩も動けなかった。誕生日の翌日に得点したのは4年前と同じ。日本代表では初となるW杯2大会連続、W杯通算3点目は貴重な先制点となった。ベンチに走り、一時は対立したザッケローニ監督とも抱き合った。
昨年10月、日本代表の東欧遠征だった。本田はMF遠藤、長谷部を連れてザッケローニ監督の部屋を訪ねた。「もう少しサイドチェンジを使いたい」「ボール支配率を上げたい」「考えてもらえないでしょうか」。指揮官が掲げるサイドチェンジ禁止、縦への攻撃重視のサッカーを変えたいと申し出た。
怒りを含んだ答えは「NO」だった。選手が戦術で変更を求めるのはタブー。追放されてもおかしくない。ただ、W杯優勝のためには、チームとしてのランクアップが必要。本田は覚悟を決めて訴えた。「もう一度、選手同士で話してきます」と粘り、最終的に「状況に応じてならいい」と譲歩させた。
今大会に懸けていた。大会前にはメディアを通じ「応援してほしい。たたくの(批判)は大会が終わってからにしてほしい」と異例の申し出をした。個人として、チームとして、実力で世界一に届かない部分は周囲のサポートで補おうと、がむしゃらな姿も見せた。
初戦は1万人近い日本人サポーターが駆けつけた。ホームのような雰囲気の中で力をもらったが、現実は非情だった。本田もゴール以降は起点になれなかった。前半、両チーム最多となる5・69キロを走った影響で後半はガス欠。大会前からの不調は抜け出せなかった。
1次リーグ初戦で黒星のチームが決勝トーナメントに進んだ例は、32チーム参加となった98年フランス大会以降で4チーム。アジア勢はいない。日本代表も98年フランス(0●1アルゼンチン)、06年ドイツ(1●3オーストラリア)は1次リーグ敗退だ。ただ、本田はテレビインタビューで言い切った。「初戦ということもあって硬かったと思う。全員がもう一度気を引き締めて自分たちのサッカーをすることで(次戦では)もっとチャンスをつくることができる」。大会前に「サプライズを起こす」と言った時と同じく、目には野心が満ちていた。(内田 知宏)
◆黒星発進から1次リーグ突破 32チームによる現行方式になった98年フランス大会から、初戦で敗れたのは46チーム。そのうち決勝トーナメントに勝ち上がったのは4チームで、確率は8・7%だ。前回大会のスペインは初戦黒星から6連勝して優勝した。
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