マイアミで行われた会議に出席してきた。私の属するボストン コンサルティング グループの社内会議だったのだが、役員全員がデジタル革命(この言葉自体はあまり好きではないが…)を体感し、議論を深めよう、という趣旨で、ベンチャーから大企業まで様々な領域の「デジタル化でイノベーションを起こそう」としている企業をお招きした。
実際に、新しい製品やサービスを持ち込んでいただいて、質問や議論をするというスタイルで、なかなか興味深かった。グーグルカーやテスラなど複数メーカーの自動車。「スマートホーム」と呼ばれる領域の家電、ホームオートメーション、エネルギーマネジメント。あるいは、グーグルグラスのような様々な拡張現実(AR)商品のB2C、B2Bでの活用デモ。
どれも面白かったのだが、最も印象に残り、かついろいろと考えさせられたのは、デジタルヘルス関連の技術・商品群だった。
熱気から感じた今後の競争の激しさ
例えば、映像を立体的に見せる「ホログラム」で人体内部を映し出す技術。これは、教育用にはすぐに実用化されるだろうし、診断機器との組み合わせで、手術のシミュレーションに、あるいは手術ロボットと組み合わせて実際の手術にも使われるようになるかもしれない。
こういったプロ向けのものに加えて、まもなく多彩な商品が市場にあふれることを確信させられたのが、生体情報のセンサーを活用した、消費者向けのデジタルヘルス商品・サービスだ。
様々な製品・サービスが実用化・商品化段階に来ているのだな、ということが分かるかなりの数の商品群が展示されていた。ものすごい熱気から感じられたのは、これからの競争の激しさだ。
先日アップルが、この秋にも腕時計型のウエアラブル端末を発売すると報じられた。発売時には、恐らく運動量、心拍数をはじめとした個人のデータを収集し、医療機関とも提携して個人の健康管理に役立てる、というコンセプトのデジタルヘルス機能が強く打ち出されるだろう。
私の周囲でも、既に出ているJawboneやFitbitのリストバンド型商品を着けている人が目立つようになってきている。私自身は万歩計機能のある無料アプリを使っているだけだが、睡眠の深さやストレスの状態がスマートフォンのアプリだけ、あるいは邪魔にならないウエアラブル機器と組み合わせて、簡単に測れるのだったら、興味はあり、少し試してみたい気になる。
アップル、サムスン、グーグルといった巨大プレーヤーから、様々なアプリメーカー、携帯事業者まで、異業種入り乱れてのウエアラブル戦争が始まるのだろうが、その目玉となる機能が、データ収集を入り口にしたデジタルヘルス領域になりそうな勢いだ。
今回の会議でも、パッチ型で3〜4センチ四方の絆創膏に複数のチップとセンサーが組み込まれている商品など、こういったウエアラブル用センサーの用途や形態を広げる製品が目立っていた。
パッチ型センサーのベンチャーは、ベンチャーキャピタルから十分な資本の提供を受け、スポーツ用品メーカーから製薬会社まで、複数の会社と共同開発の段階に進んでいるとのこと。この分野に興味を持つ企業の範囲の広さを感じさせた。