今まで 30–40Mbps 程度しか速度が出ていなかった自宅の Wi-Fi を、100Mbps 以上まで高速化することに成功しました。やったのは無線 LAN ルータの設定変更と配線の見直しです。手持ちの機器が多少古くても、その機能を最大限に引き出せれば十分に高速化できると分かりました。
目次
- 通信環境
- まず無線 LAN の規格を調べる
- Time Capsule で 5GHz 帯を利用する
- 続いて有線 LAN の規格
- 旧式のマルチメディアポート
- ボトルネックはハブ
- 延長コネクタでハブを回避
- まとめ
通信環境
自宅で使っている通信回線、機器は次の通りです。
- 通信回線: auひかりホームタイプ(上下最大 1Gbps)
- ONU: KDDI レンタル
- ホームゲートウェイ: KDDI レンタル(Aterm BL900HW)
- 無線 LAN ルータ: Apple AirMac Time Capsule 802.11n 第4世代
詳しくは後述しますが、マルチメディアポートというものが2階奥のクローゼットに設置されているため、光ファイバーの収容場所と ONU、ホームゲートウェイの設置場所もそこになっています。
Time Capsule は買ってから3年ぐらいになる機種です。宅内 LAN でマルチメディアポートとつながっている1階リビングに設置。ブリッジモードで動かし、Wi-Fi を構築しています。Time Capsule を2階でホームゲートウェイに直結してしまうと、1階まで無線が届きにくくなるのでこのようにしています。
電話は光電話ですが、これもマルチメディアポートから各部屋に分配されるため、電話機本体はリビングにあります。
まず無線 LAN の規格を調べる
対策としてまず行ったのは、手持ちの機器がどの無線 LAN 規格に対応しているのかを調べることです。表の通り、規格によって利用できる周波数帯や速度に違いがあります。
規格(IEEE) | 周波数帯 | 最大速度 |
---|---|---|
802.11a | 5GHz | 54Mbps |
802.11b | 2.4GHz | 11Mbps |
802.11g | 2.4GHz | 54Mbps |
802.11n | 2.4GHz/5GHz | 600Mbps |
802.11ac | 5GHz | 6.9Gbps |
Apple のサイトで確認したところ、自分が使っている Time Capsule 802.11n 第4世代 と iMac Mid 2010、iPhone 5s、iPad Air はいずれも 802.11a/b/g/n に対応していました。
特に 802.11n についてはどれも 2.4GHz 帯と 5GHz 帯の両方に対応していたので、5GHz 帯で接続することにしました。5GHz 帯の方が他の Wi-Fi 機器や電子レンジなどの電波干渉を受けにくく、速度が安定して出やすいからです。
参考記事:
Time Capsule で 5GHz 帯を利用する
Time Capsule の設定は簡単です。AirMac ユーティリティを開き、「ワイヤレス」→「ワイヤレスオプション…」を選択。ネットワークの名前を入力します。名前はもともとの 2.4GHz 帯と区別しやすいようにしておくといいです。
「無線モード」のところはデフォルトのままでもいいと思いますが、変えたい場合はオプションキーを押しながらクリックするとたくさん選択肢が表示されます。あとは「保存」をクリックするだけです。
自分の場合、これだけで 70Mbps 程度まで速度が向上しました。
続いて有線 LAN の規格
無線 LAN と同じように、有線 LAN にも規格があります。もちろん通信回線の速度や、有線接続する PC、そしてルータがどの規格に対応しているかが重要ですが、通信経路となる LAN ケーブルやハブについても規格に合った物を用意する必要があります。
規格 | 最大速度 | ケーブルカテゴリー |
---|---|---|
10BASE-T | 10Mbps | Cat3〜 |
100BASE-TX | 100Mbps | Cat5〜 |
1000BASE-T | 1Gbps | Cat5e〜 |
10GBASE-T | 10Gbps | Cat6a〜 |
うちのマルチメディアポートは旧式で、100BASE-TX までしか対応していないことが最大の障壁になっていました。
参考記事:
旧式のマルチメディアポート
マルチメディアポートは、電話線やテレビ回線、通信回線を1カ所に収容し、宅内配線を使って各部屋に分配するシステムです。
便利な仕組みではあるのですが、100BASE-TX までの対応となると、そもそも光回線の速度がどれだけあろうと、宅内 LAN は最大でも 100Mbps に制限されます。そのため1階リビングにある Time Capsule も影響を受けてしまいます。
ボトルネックはハブ
マルチメディアポートの蓋を開くと、中身はこんな風になっています。青いケーブルが何本も挿さっているのがハブ。宅内 LAN を構成している機器です。それぞれのケーブルは壁の内側を通って、各部屋に伸びています。
そして、このハブが 100Mbps までしか対応していない製品だったのです。ケーブルの方はすべて Cat5e(1Gbps)が使われていました。
延長コネクタでハブを回避
根本的にはハブを交換しない限り、未来永劫にわたって速度向上は見込めません。でも交換となると結構な費用がかかるはずなので、今回はこいつでハブを回避することにしました。
LAN ケーブルの長さが足りない時に、ケーブル同士をつないで長さを延ばすための延長コネクタです。
ホームゲートウェイから来ている LAN ケーブルと、1階のリビングから来ている LAN ケーブルを両方ともハブから外し、コネクタで直結しました。つまり、2階のホームゲートウェイと1階の Time Capsule とを超長い1本の LAN ケーブル(実際は2本の LAN ケーブルと延長コネクタ)で接続した状態です。
まとめ
これで宅内 LAN による速度のロスがなくなり、Time Capsule がフルパワーを発揮できるようになりました。先ほどの 5GHz 帯の利用との合わせ技で、劇的に通信速度が向上しました。
他に有線接続している端末はないので、ハブが使えなくなっても特に影響はなさそうです。今後有線接続が必要な端末が出てきたら、Time Capsule の LAN ポートにつなげばいいかな、と考えています。
5GHz 帯の利用についてはマルチメディアポートとは無関係の話ですので、Wi-Fi の速度が上がらないと悩んでいる人がいましたら、自宅のルータにそのような機能がないか見てみてください。