食品:ハム、チョコ値上げへ…内容量減で「据え置き」も

毎日新聞 2014年06月15日 22時36分(最終更新 06月16日 00時38分)

カカオ豆の国際市場価格の推移
カカオ豆の国際市場価格の推移
値上げや容量変更される主な商品
値上げや容量変更される主な商品

 ハムやバター、チョコレートなどの食品が今夏、原材料価格の上昇を受けて相次いで値上がりする。ただ、4月の消費税率引き上げで家計は厳しくなっているため、内容量を減らして価格は据え置く「実質値上げ」で対応する企業も目立つ。「消費者は価格に敏感になっている。値上げは簡単ではない」(大手メーカー)というが、価格据え置きの限界を訴える業界もある。【神崎修一】

 ◇新興国需要増/天候不順/円安重なり

 明治は7月から板チョコの「ミルクチョコレート」を55グラムから50グラムに減らし、縦横を約1センチずつ小さくする。また、「アーモンドチョコ」をこれまでの1パック23粒から21粒に減らすなど、チョコレート商品計10品目の内容量を4〜9%減らす。森永製菓は7月から「チョコボール」や「ダース」など14品目の内容量を4〜8%減らし、ロッテも8月から「コアラのマーチ シェアパック」などチョコ菓子6商品の内容量を17〜26%減らす。いずれも、価格を据え置いた実質的な値上げだ。

 背景には、中国やインドなど新興国の経済成長に伴うチョコ需要の高まりで、原材料のカカオの価格が上昇していることがある。国際ココア機関によると、カカオ豆の価格はこの1年余りで4割程度上昇した。アベノミクス効果で2012年以降、円安になったことも輸入価格を押し上げている。さらに、今夏はエルニーニョ現象の影響で、インドネシアなど主要生産国で天候不順に陥り、供給量が減るとの懸念も台頭している。明治は、カカオ価格が高騰した12年8月も容量減で対応。「商品価格の値上げは難しい。容量減で対応するのはやむを得ない」と理解を求めている。

 ただ、原材料の値上がりに容量減だけで対応するのも限界がある。日本ハムは7月から、ハムやソーセージ計284品目を平均で実質約10%値上げする。119品目は容量減で対応するが、165品目は値上げだ。豚肉の主要輸入先である米国で、豚流行性下痢(PED)が大流行し、出荷量が減少したという事情もあり、5月の東京市場の豚枝肉の平均卸売価格はこの1年で17%も値上がりした。日本ハムは「包装資材などの値上がりもあり、年間50億円を超えるコスト増。自助努力での吸収は困難」と話している。伊藤ハムや丸大食品も7、8月に商品の値上げを決めている。

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