コートジボワール戦に足りなかったもの
コートジボワール戦で日本の敗因となった個人のミスを挙げるのは簡単なことでもあるし、厳しすぎることでもある。単純な事実は、日本は前半にチームとしてきわめて良い戦いをしたが、同じくチーム全体として崩れてしまい、後半に試合を台無しにしてしまったということだ。
2失点は立て続けに生まれたが、それ以前に日本はすでに試合のコントロールを失っていた。サムライブルーがリードを保つことができていたのはコートジボワールのフィニッシュの拙さに助けられてのことだった。
そういう状況の中で、ドログバのような選手がいれば非常に戦いやすいだろう。途中から試合に出てきて、ピッチ前方の10mか20mでチーム全体を引っ張ってくれるような選手だ。チームメートたちに自信を、対戦相手に恐怖を感じさせるような存在だ。
前半に素晴らしい戦いとスーパーゴールを見せた本田がペースを落とすと、日本がクオリティーの高いサッカーを垣間見せるための望みは香川に託された。だが、今季のマンチェスター・ユナイテッドでもしばしばそうであったように、インパクトを残すことはできなかった。
チームの重心は押し下げられ、各ラインの間の距離は空いてしまい、ディフェンスのメカニズムが機能しない。コートジボワールにスペースを与えてチャンスをつくられてしまい、結局はネットを揺らされた。
後半のチームが見せた落ち着きのなさとパーソナリティーの欠如により結果を説明することができる。日本は安易な2失点(クロスを上げる選手も得点者もほぼノーマーク)を喫しただけではなく、決して堅固ではないコートジボワールの守備に対してチャンスらしいチャンスも生み出すことができなかった。
ここに、もう一つの大問題がある。ザックジャパンが効果的な戦いをできるやり方は一通りしかないということだ。速いパスをつないで攻撃サッカーを展開するときだけだ。だが個々の選手のコンディションが最高ではなく、疲れが見え始めてくると、プランBがないために何もできなくなってしまう。
遠藤を入れて中盤を再構成し、コートジボワールのプレーをスローダウンさせるというザッケローニの考えは正しいものだったかもしれないが、実際には裏目に出てしまった。
日本がギアを下げようとした直後から、ドログバの圧倒的なフィジカルの強さとカリスマに後押しされたコートジボワールの選手たちは反撃の手を強め始めた。日本に欠けていたスピードとクオリティーのあるプレーで、その反撃は達成されることになった。
だが、第1ラウンドは日本にとって悪いことばかりだったわけでもない。同じグループのもう一つの試合を見てみれば、ギリシャは十分に何とかなる相手だ。コロンビアはよく組織された効果的な戦いをしていたが、まったくの別世界にいるわけではない。
日本がブラジルでの冒険を続けるためには今後の2試合両方に勝つ必要があるだろう。簡単ではないが、おそらく不可能でもない。だが、今日以上の決意と戦術的規律が必要になってくることは間違いない。
文/チェーザレ・ポレンギ
GOAL JAPAN編集長。ツイッターアカウントは@CesarePolenghi