米国:アフガンから完全撤退を発表 16年末まで

毎日新聞 2014年05月28日 11時11分(最終更新 05月28日 13時01分)

 ◇オバマ大統領「最も長い戦争に終結」

 【ワシントン和田浩明】オバマ米大統領は27日、アフガニスタン駐留米軍を2016年末までにほぼ完全に撤退させる計画をホワイトハウスで正式に発表した。実現すれば、01年米同時多発テロへの報復としてブッシュ前政権が開始した「米国最長の戦争」が、15年を経て終結する。オバマ政権は、これによって生じる余力を、新たな外交的取り組みに振り向ける意向だ。

 オバマ大統領によると、約3万2000人の駐留米軍は今年中に戦闘任務を終了。15年初頭までには規模を約9800人、同年末にはさらに半減させ、16年中に首都カブールの治安支援任務担当以外は全部隊を撤退させる。15年以降も駐留を続けるにはアフガン政府との安全保障協定締結が必要だが、6月中旬の決選投票に臨む次期大統領候補のアブドラ元外相、ガニ元財務相はいずれも前向きだという。

 オバマ氏は声明を読み上げ、「米国の最も長い戦争に責任ある終結をもたらす」と明言。米軍派遣の主目的だった国際テロ組織アルカイダの弱体化が進み、アフガン治安部隊も独自活動が可能になりつつあると説明した。さらに、「アフガンは完璧な場所にはならないし、そうすることは米国の責任でもない」とも明言し、09年の第1期政権発足以来の公約であるアフガン撤退を17年1月までの任期中に実現させるとの強い意向を示した。

 オバマ大統領は、11年のイラク撤退に続き、アフガンからも米軍を引き揚げることができれば、「世界中で米国が指導力を発揮する上で新たな一章を開くことができる」とも発言。28日に予定する演説で具体的内容を公表する考えを明らかにした。

 今回の発表は、米国民の支持が高いアフガン戦争終結の具体的な道筋を示し、与党民主党の苦戦が予想される11月の中間選挙の戦況を改善しようとする意図もあるとみられる。

 野党共和党のマケイン上院議員らは、「敵を勇気づける政治的決定」「米国は頼りにならないとの認識を世界中で強める」などとオバマ氏の計画を批判。撤退は日程を明示するのではなく、治安状況を勘案しながら行うべきだと主張した。

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