Think outside the box

Unus pro omnibus, omnes pro uno

麻生財務大臣の「ふざけた話」発言

麻生財務大臣の発言が話題になっています。

発言の全体が不明なので断定はできませんが、家計金融資産に占める現預金の割合が多すぎる(⇔株式の割合が少なすぎる)、という主張だと思われます(このような主張は1990年代から見られます)。

日本の現預金の割合が多いのは事実ですが、低リスクの現預金と保険・年金が占める割合は韓国・ドイツも約8割で大差はありません。日本の家計が極端にリスク回避的というわけではありません。

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家計の株式保有が少なすぎるとすれば、それは他部門の株式保有が多すぎることを意味しますが、どの部門が多すぎるのかは不明です。家計が直接保有しなくても、金融機関を通じて間接保有してもよいはずです。

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家計の現金保有(箪笥預金)の増加は1995年頃から、流動性預金の増加(定期性預金からのシフト)は2001年頃からですが、それぞれ日本銀行の超低金利政策と量的緩和政策(ゼロ金利)の開始と対応しています。家計の流動性選好は金利低下に合理的に反応した結果で、ふざけているわけではありません。 

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「日本だけどうしてこうなったのか」ですが、円の過大評価・デフレ・低出生率を政府が長期間放置したから、というのが答えになるでしょう。家計の株式保有が少ないから成長率が低いわけではありません。ふざけているのは政府ではないでしょうか。

株屋が「信用されないような行動だった」のは毎度のことですが、「貯蓄から投資へ」など、無理な理屈で家計に株を買わせようとする政府にも問題があるように思えます。

 

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