フリーWi−Fi:拡充へ…災害時など、契約者以外に開放

毎日新聞 2014年05月27日 21時19分

 NTTドコモをはじめ携帯電話大手などの通信事業者が協力し、無線LAN「Wi−Fi(ワイファイ)」の活用を広げる取り組みに乗り出す。大規模な災害が起きた際には誰でも無料で使えるようにする。また2020年の東京五輪に向け、日本を訪れる外国人が簡単に無線LANを使えるよう通信環境を整備する。

 通信事業者などでつくる「無線LANビジネス推進連絡会」が27日発表した。スマートフォン(多機能携帯電話)の普及によるデータ通信量の増加に対応するため、携帯大手はこれまで、スマホを無線LANに接続することで通信網への負荷を軽減してきた。自社サービスとの位置づけが強いため、自社の契約者にしか無線LANを開放してこなかった。

 しかし、東日本大震災では、携帯電話の基地局が被害を受け、通話やメールができなくなった。この教訓を踏まえ、大規模災害時には発生から72時間以内に共通の接続先「00000JAPAN」を全ての利用者に開放することを決めた。携帯電話の回線が使えなくても、メールや無料通話アプリ「LINE(ライン)」などを使って連絡を取り合うことができる。今年度中に運用を始める。

 無線LANは携帯大手だけでなく、公共交通機関やコンビニエンスストアなども無料で提供している。日本の携帯電話を契約していない訪日外国人も無線LANは使えるが、提供施設ごとにメールアドレスなどを登録しなければならず、米国などに比べ使い勝手が悪かった。同連絡会は総務省や観光庁などと今夏に協議会を作り、16年度にも全国で使える仕組みを構築する。1回登録すれば滞在中は全国無料で無線LANを利用できるようにする方向だ。【横山三加子】

 【キーワード】Wi−Fi(ワイファイ)

 ケーブルなどを使わず、無線でインターネットにつなぐ技術「無線LAN」の一種。スマートフォンやパソコンなど異なる機器間でも相互に接続できると確認できた無線LANに与えられるブランド名がワイファイで、無線LANで最も普及している。サービスは無料と有料があり、無料で使えるのがフリーワイファイ。携帯電話大手が自社のスマホ利用者向けに無料で提供したり、飲食店が集客目的で無料提供したりする例などがある。

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