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 → 【W杯】 コートジボワール戦でもっとも良かったと思うのは誰ですか? (投票数:786票)



■ コートジボワール戦

ブラジルW杯が開幕して3日目。現地の6月14日(土)だけ1日で4試合が行われるハードスケジュールになっているが、最後の4試合目に日本代表が登場してコートジボワール代表と対戦した。1試合目に行われたグループCのコロンビアとギリシャの試合は3対0でコロンビアが大勝しているので、日本も、コートジボワールも、負けると非常に苦しくなる試合と言える。

日本は「4-2-3-1」。GK川島。DF内田、森重、吉田、長友。MF山口蛍、長谷部、岡崎、本田圭、香川。FW大迫。怪我の影響で親善試合のコスタリカ戦とザンビア戦を欠場したMF長谷部がスタメンに復帰して、MF遠藤はベンチスタートとなった。注目の1トップはFW大迫が起用されて、FW柿谷とFW大久保はベンチスタートで、CBはDF森重がスタメンで起用された。

一方のコートジボワールは「4-2-1-3」。GKバリー。DFオーリエ、ゾコラ、バンバ、ボカ。MFティオテ、セレイ・ディエ、ヤヤ・トゥーレ、。FWサロモン・カルー、ボニー、ジェルビーニョ。アフリカの英雄と言える大黒柱のFWドログバはベンチスタートとなったが、怪我のため日本戦は欠場も噂されていたマンチェスターC所属のMFヤヤ・トゥーレはトップ下でスタメンとなった。

■ 連続失点で逆転負け・・・

日本の試合の入り方は悪くはなかったが、前半5分あたりを過ぎるとコートジボワールに押しこまれるようになる。しかし、前半16分に左サイドのスローインからDF長友のパスを受けたMF本田圭が鮮やかなコントロールから得意の左足で強烈なシュートを決めて日本が先制に成功する。MF本田圭はW杯通算3ゴール目で日本人選手の中では単独1位となった。

さらに直後に右サイドを崩してDF内田がキーパーと1対1の決定機を掴むが、相手キーパーにセーブされてしまう。2点目を奪う絶好のチャンスを逃したあとは相手に攻め込まれるようになる。この日の日本はボールの失い方が非常に悪くて、コートジボワールがカウンターからチャンスを作るシーンが続いていく。ただ、相手のシュートミスに助けられて前半は1対0とリードして折り返す。

後半になるとようやく日本の左サイドが機能し始めるようになるが、後半19分に不用意な形でボールを失って日本の左サイドからクロスを入れられると、プレミアリーグのスウォージーでプレーしているFWボニーに決められて同点に追いつかれる。さらに2分後の後半21分にも同じようなクロスからMFジェルビーニョに頭で決められてわずか2分間で逆転されてしまう。

その後もカウンターからピンチを招くシーンが多くて、途中出場のFW大久保やFW柿谷に見せ場は訪れない。結局、2対1でコートジボワールが逆転で勝利して勝ち点「3」を獲得した。今大会は逆転で勝利するチームが多くて、ブラジルとオランダとコスタリカに続いてコートジボワールが4チーム目となった。一方の日本は苦しいスタートになって、GL突破に黄色信号が灯った。

■ この内容では勝てなくて当たり前

大事な初戦で日本は1対2で逆転負けを喫したが、この内容では勝てなくて当たり前である。1対2という最少得点差で終わったのが幸運に思うほどで、ポジティブに考えられるのは「1点差負けで済んだ。」という点くらいである。昨日行われたオランダとスペインの試合は5対1でオランダが勝利したが、そういう大差で負けていてもおかしくない内容だったと言わざる得ない。

10時キックオフの試合だったので、暑さの影響は少なかったと思うが、日本の選手の動きは重かった。もちろん、雨の影響は多分にあったと思うが、前半の立ち上がりからアグレッシブさが全く見られなくて、日本らしいサッカーができた時間帯はほとんど無かった。結果も残念だったが、日本のサッカーを世界のファンに見せることができなかったことが何よりも残念である。

「なぜ消極的なサッカーになってしまったのか?」については不思議に思うが、あれだけ受け身のサッカーになると、個人能力の高いコートジボワールの攻撃を防ぐのは無理である。中盤でほとんどプレッシャーがかからなくて、自由にボールを回されてしまったが、前半の30分あたりから続いた良くない流れのままで1対0のリードを守り切るのはほぼ無理である。

後半に同点に追いつかれて、逆転ゴールを食らったのは必然の結果と言えるが、本来のプレーができたのはDF内田ら数名だけ。悪い部分を変えるためには3つの交代カードだけでは難しかった。MF遠藤を投入する以外に何か有効な策があったかというと微妙で、「リードを奪ったときの戦い方」という2013年から言われ続けてきた問題点も露呈した試合と言える。

■ なぜ自分たちのサッカーができなかったのか?

日本にとっては非常に厳しいスタートになったが、こういう内容であれば勝ち点「0」に終わるのは当たり前の話である。内容が良かったのに負けてしまったケースというのは立て直すのが難しいが、明らかに内容が悪くて負けているので、立て直す方法はいくらでもある。次のギリシャ戦は絶対に勝ち点「3」が必要な試合であり、底力が試される試合と言える。

そもそもとして、なぜ自分たちのサッカーができなかったのか?を考えてみたが、これがW杯のプレッシャーというものかもしれない。途中までは自分たちのサッカーができていて、途中から崩れてしまったのであれば体力的な問題であったり、コンディションの問題を疑う必要があるが、この試合に関しては、前半の最初の段階からいつもの日本代表ではなかった。

「リスク覚悟でボールをつなぐこと」、「狭いスペースであっても縦パスを入れて、縦パスを受けること」、「最終ラインは恐がらずにラインを上げること」の3つがザックジャパンの基本となるが、どれも実行できなかった。攻撃のときは裏を狙う意識も低くて、コートジボワールの守備陣にとっては守りやすい展開であり、変化に乏しい攻撃になってしまった。

■ 誤算だったMF香川とFW大迫の不出来

今回のチームは攻撃的なチームであるが、自分たちから仕掛けていくためには勇気が必要である。リアクション型のサッカーであれば自分から積極性を出さなくても大丈夫なときがあるが、ザックジャパンはそういうチームではない。攻撃的な思考を持ったチームがW杯という大きな舞台でプレッシャーに打ち勝って自分たちのサッカーを貫こうとすることの難しさを痛感する試合となった。

普段はボールがおさまるMF香川とFW大迫のところで全くおさまらなかったのは痛手だった。サポートの少なさという周りの問題もあるので、個人のせいにすることはできないが、ボールをおさめてほしいところでボールを失うことが多くて、信頼して2人にボールを預けている周りの選手が困る事態になった。中心となるはずの2人の出来の悪さは大きな誤算だったと言える。

ただ、W杯という世界最高峰の舞台である。特に初出場の選手になると、過剰にプレッシャーを感じたり、過剰に緊張したりして、本来のプレーができない選手が出てきても不思議はない。同じ初出場の選手でもMF山口蛍やDF森重は普通にプレーできたと思うが、MF香川とFW大迫に関しては「W杯の雰囲気に飲まれてしまった。」と言えるのではないか。

■ 勝ち点「3」が必須となったギリシャ戦

チーム全体としても雰囲気に飲まれてしまったところはあるが、これだけの舞台になると、消極的になったり、守りの気持ちが出てきてもおかしくない。数時間前の自分のことを思い出してみるとよく分かると思うが、日本にいて、テレビの前で応援している単なるサポーターでさえ、試合前や試合中は緊張して、食事が喉が通らなくなったり、緊張でトイレに行く回数が増えたりする。

全くの部外者であり、試合を観るだけという立場の単なるサポーターでさえ、そういう状態になるのだから、小さい頃からW杯に出場することを目標に頑張ってきた選手が夢の舞台で舞い上がってしまうのもよく分かるし、むしろ、これだけの期待を背負ってプレ―しているにも関わらず、W杯でも普段通りにプレーできる選手の方が凄いと言わなければならないと思う。

いずれにしても非常に残念な結果となったが、コートジボワール戦については、試合前の段階から「勝てる可能性もあるし、引き分けの可能性もあるし、負ける可能性もある」と言われていた。それぞれの確率は等しく1/3程度だったので、負けたからといって落ち込んでいる暇は無い。選手だけでなく、サポーターも気持ちを切り換えてギリシャ戦に向かう必要がある。

大事なのは自分たちのサッカーをすることであるが、かなり追い込まれてしまったことはプラスに作用するだろう。コートジボワール戦は初戦のプレッシャーというだけでなく、前半16分という「いい時間帯」に先制したことが仇になって、さらに気持ちが受け身になった。本来のサッカーが全くできなかったが、もうビビる必要はないし、ビビっている選手は必要とされない。

4チームで構成されるグループリーグは2勝1敗では突破できない可能性がある。2連勝したとしても決勝トーナメントに進むことができないこともあるが、逆に1勝2敗で3チームが並ぶケースもある。とにかく次のギリシャ戦に勝つことであり、勝つと雰囲気は良くなるだろう。まだまだW杯は始まったばかりで、少なくとも2試合残っている。ここで諦めてしまうことが一番ダメである。


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