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【政治】

解釈次第で行使拡大 集団的自衛権 自民の新要件

2014年6月14日 07時11分

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 武力で他国を守る集団的自衛権の行使容認をめぐり、十三日の与党協議で、座長の高村正彦自民党副総裁が、行使を容認する憲法解釈変更の私案を示した。行使を禁じた一九七二年の政府見解の文言を引用しつつ一部の言葉を変えることで、解釈次第で行使が際限なく可能となる内容だ。行使容認に慎重な公明党に配慮する姿勢をみせながら、実際は政府見解を骨抜きにするものだ。公明党は党内に限定的な容認論が出ているが、慎重な議論を求めている。

 高村氏が「武力行使の新しい三要件」と説明した私案では、自衛権の行使が許されるのは、攻撃対象が日本か他国を問わずに「わが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆されるおそれがあること」と説明。他国への攻撃が発生した場合には集団的自衛権の行使が認められるとした。

 政府が、憲法と集団的自衛権との関係を示したのが七二年見解。そこでは、自衛権行使が許されるのは「国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される急迫、不正の事態」のみに限定した。似た表現だが、高村私案は七二年見解の「事態」を「おそれ」に置き換えた。「根底から覆される事態」がなくても、そのおそれがあると政府が判断すれば、集団的自衛権を使えるようにした。

 「わが国の存立が脅かされ」る場合も、行使できるとする文言も追加。これも政府の判断次第でどのようにも解釈できる。「おそれ」と合わせ、集団的自衛権の行使が幅広く認められるようにした。

 公明党は、憲法解釈の見直しについて過去の政府見解との論理的な整合性があるかどうかを重視している。「高村私案」は過去の見解の言葉の一部を引用したものの、重要な部分で文言を変えており、整合性が疑問視される。

 与党協議で、高村氏は私案を「閣議決定案の核心部分に当たる」と説明した。公明党内には集団的自衛権の行使を認めることに慎重な意見が依然根強く、私案を持ち帰った。協議の副座長を務める北側一雄副代表は「憲法解釈の見直しには限界があり、それを超える場合は憲法改正の手続きをとるのが法治国家として当然だ」と述べた。

 <72年政府見解> 米国の参加したベトナム戦争の泥沼化を背景に、政府が1972年10月の参院決算委員会に提出した。憲法前文や13条を挙げ「わが国が自らの存立を全うし国民が平和のうちに生存することまでも放棄していない」と明記。「集団的自衛権の行使は憲法上許されない」と結論付けている。

(東京新聞)

 

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