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スペシャルリポート

被災地の赤ちゃんを守る一時避難

温泉宿で緊張の糸を解いて


プレイルームで室内遊び。お友だち、できるかな?

 津波で家も現金も通帳も流され、避難したくても交通費が無いために動けない被災者もいます。赤ちゃん一時避難プロジェクトは、湯沢町の計らいで滞在中の宿泊費や食費がかかりません。同プロジェクトが被災地に車などで迎えに行くので、移動費も要りません。金銭的な心配をせずに避難できます。

 宿泊施設にはプレイルームが用意され、保育士やチャイルドマインダーなど遊びの展開が上手なボランティアがいます。また、おむつや粉ミルク、肌着や洋服など育児に必要な日用品や、ぬいぐるみ、おもちゃ、文具などもそろっています。特に利用者に好評なのは、同プロジェクトが湯沢町に開設した「オリーブクリニック」です。小児科医など専任の医療スタッフが常駐し、いつでも利用できる上に無料です。

 こうした活動全般を支えているのは、各方面からの支援物資と、同プロジェクトが集めた募金です。募金額は、プロジェクト始動後約20日で当初の目標の600万円に達しました。被災地で辛い目に遭っている母子に心を寄せる人が、それだけたくさんいることの証でしょう。

笑顔を取り戻す家族


ボランティアスタッフによる紙芝居も

 プロジェクト名には「赤ちゃん」とありますが、地元の小中学校に一時的に通えるように支援して就学児も受け入れています。赤ちゃんの兄弟・姉妹や両親はもちろん、おじいちゃんやおばあちゃんが一緒の家族もいます。

 同プロジェクトが動き出した当初は、ほとんどの被災地で停電が続いており電話も通じない状況でした。南三陸町からの移動初日に、たった2組しか集まらなかった背景には、被災地の深刻な情報不足がありました。プロジェクトの対象である小さな子どもを抱える被災者に、募集の呼び掛けが届いていなかったのです。その後、テレビなどで紹介された影響もあり、同プロジェクトの利用者は徐々に増加中です。しかし、4月13日までの受け入れ実績は25組78人、うち子どもが38人。部屋はたくさん用意されているので、まだ十分に余裕があります。

 湯沢町に着いた方からは「来てよかった」「知り合いも呼びたい」という喜びの声が上がっています。例えば、気乗りがしないながら夫の勧めで避難してきた生後9カ月の女の子のお母さんは「想像以上に子どもたちにとっては素晴らしい環境」と驚き、「やっと本当の意味で心身共に休める事ができそうです」と語っています。2歳の女の子のお母さんは「これからのことも、少しずつ考えていけるようになりました」と前向きな気持ちを取り戻しました。総じて、満足度は非常に高いようです。

 今、小さな子どもに必要なのは、休息と栄養、そして思い切り遊んでストレスを発散できる空間と時間です。そのためには、一時的でもいいので清潔な場所に避難させることが急務です。また、言うまでもなく赤ちゃんはお母さんの笑顔が大好きですから、極度の疲労で参っているお母さんたちに元気を取り戻してもらうことも重要です。今日も湯沢町では温かい食事とお風呂と医療サービスを用意し、両手を広げて被災者の来訪を待っています。


赤ちゃん一時避難プロジェクト
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(2011年4月15日)

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