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スペシャルリポート

被災地の赤ちゃんを守る一時避難

東日本大震災では多くの赤ちゃんとお母さんが被災しました。感染症の危険やストレスにさらされる生活が長引くことは、特に乳幼児にとっては望ましくありません。「赤ちゃん一時避難プロジェクト」は、被災地の親子を清潔で安全な場所に運び、温かな休息を提供しています。(取材・文 瀬戸内千代)

赤ちゃんには「危険」な被災地での生活


安全運転で被災地から一時避難先へ。湯沢町に到着して笑顔を見せる利用者の皆さん

 「堅苦しく考えずに、1度バスに乗ってしまえば湯沢のホテルに着きますので気軽に来て欲しいと思います」。「赤ちゃん一時避難プロジェクト」で生後7カ月の赤ちゃんと避難して来たお母さんは、迷っている親子に、こう呼び掛けています。赤ちゃんは温泉できれいにしたら湿しんが治り、親の安心が伝わるのか表情も豊かになったそうです。

 震災発生から1カ月を過ぎた今も、被害の大きかった地域では、いまだにライフラインが整いません。余震も続いています。沐浴もままならず、粉ミルクの調乳も満足にできない被災地での赤ちゃんの健康管理は本当に大変。平和な日常を突然奪われたお母さんたちの心労は計り知れません。ましてや泣き声ひとつに気をつかい、授乳も気軽にできない避難所生活となれば、親子ともにストレスはたまる一方でしょう。

 医学的にみても、感染症の危険性が大幅に増し、目に見えないストレスが蓄積する被災地での生活は、子どもにとって過酷です。経済協力開発機構(OECD)も、災害時の緊急対応について「必要な栄養が欠くと、その後長期に渡る子どもの発達に影響を及ぼす」として、見落とされがちな乳幼児とその親への対応に注意を促しています。

 生まれ育った土地を離れ難く、赤ちゃんの長距離移動も心配で、一時避難をためらう親子が少なくないようですが、小さな子どもは繊細です。実際に被災地では、咳や湿しんや胃腸炎など身体的な症状が出ているほか、心理的にも大人以上に大きな影響が懸念されています。温泉もある越後湯沢で親子一緒にホッと一息つければ、心身ともに少しずつ元気を取り戻せるのではないでしょうか。

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