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 大相撲の元大関で西関脇の琴欧洲(31)=本名安藤カロヤン、ブルガリア出身、佐渡ケ嶽部屋=が春場所12日目の20日、日本相撲協会に引退届を提出した。今後は部屋に残り、親方として後進の指導にあたる。

 この日あった引退会見で、琴欧洲は終始涙だった。「お相撲さんになって良かった」「思うように相撲が取れず、精神的にも体力的にも……」。そう語り、ハンカチで目を押さえた。

 全力士で最も高い202センチの上背を生かし、2006年初場所で欧州出身初の大関に。所要19場所での大関昇進は、序ノ口から始めた力士では最速。08年夏場所で幕内初優勝を果たした。だが、最近は故障がちで、ここ2年間で途中休場は6度。昨年秋場所、続く九州場所も途中休場し、8年務めた大関から陥落した。今年初場所で10勝すれば大関に復帰できたが、8勝止まりだった。今場所は2日目から9連敗し、10日目の白鵬戦を最後に休場していた。

 白鵬戦の後、師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)に「気力がないです」と伝えたという。親方は「ぼろぼろの体でよく頑張ったと思う。でも、私の指導力不足で横綱に育てることができなかった」と語った。