Think outside the box

Unus pro omnibus, omnes pro uno

雇用改善の現状

物価と賃金・人件費の動向の確認】などで取り上げた実質賃金低下については、家計消費を減少させるという否定的なものと、就業者数増加につながるという肯定的なものに見方が分かれています。後者は、就業者の増加と失業者の減少を、これまでの政策の成果であるとして、今後を楽観視しています。

実質雇用者報酬は、実質賃金と就業者数を掛け合わせたものであるから、経済全体としてみれば、実質賃金の低下は、就業者数の増加によって補われている形だ。このため今の時点で見ても、まったく問題はない。

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雇用の量的改善ですが、財務省の「法人企業統計」では違った印象になります(今年の1~3月まで)。なお、従業員数の定義は以下の通りです。

「従業員数」は常用者の期中平均人員と、当期中の臨時従業員(総従事時間数を常用者の1か月平均労働時間数で除したもの)との合計である。

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増加する企業利益とは対照的に、消費の原資となる人件費は減少が続いています。2003~07年の円安景気では、利益増加に少し遅れて人件費が増加しましたが、東日本大震災からのリバウンド以降の景気拡大では、人件費への波及が依然として見られません。

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企業利益増加・人件費減少の局面において、法人税減税・消費税増税は果たして合理的でしょうか。