【ワシントン=川合智之、ドバイ=久門武史】米国防総省は13日、オバマ大統領が同日の緊急記者会見で「数日中にイラクへの支援策を決定する」と表明したのを受け、具体的な軍事支援の検討に入った。中東地域に展開する空母が即応態勢にあることを明らかにした。イラクのマリキ首相は同日、武装組織が押さえる都市を奪還する作戦を始めると表明。米軍を後ろ盾に反攻を急ぐ方針だ。
国防総省のカービー報道官は13日の記者会見で、空母ジョージ・ブッシュを中心とする艦船群が中東地域を航行中であり、作戦指示の待機中であることを明らかにした。
米CNNテレビは空爆の準備に向けて同空母がペルシャ湾に向かう予定だと伝えた。米軍は空母から無人機を飛ばし、イラク北部を中心に勢力圏を伸ばしている武装組織の拠点を攻撃するとみられる。
カービー氏は最近イラク軍に提供した物資として「100発の空対地ミサイルに加え、数百万発の小火器弾薬、戦車弾薬、ヘリコプター用ロケット弾」を挙げた。昨年末には武装偵察ヘリも追加で派遣したという。
オバマ氏は米国家安全保障会議(NSC)を開き対応策を検討している。ルー財務長官は14~19日、アラブ首長国連邦とサウジアラビア、イスラエル、ドイツを訪問。イラクの武装組織の資金源や武器供与ルートについて協議する。
一方、オバマ氏はこれまでイラク戦争で米軍が多大な犠牲を払ったにもかかわらず「イラクの指導者は不信や宗派間対立を克服できなかった」と厳しく批判。米の支援の条件としてマリキ政権の「真剣で誠実な努力」が不可欠だと注文を付けた。
イラクのマリキ首相は13日、バグダッド北方のサマラを訪れ「(治安部隊が)すべての都市からテロリストを排除する作戦に着手した」と述べた。AFP通信が伝えた。サマラは首都の北方約120キロメートルに位置し、周辺で武装組織がマリキ政権側の治安部隊やシーア派民兵と衝突を重ねる。
これに先立ち、隣国イランのロウハニ大統領はマリキ首相と電話で協議し、テロとの戦いのため最大限の支援をする方針を伝えた。イランはシーア派の大国で、イラクでシーア派を支持基盤とするマリキ首相と関係が深い。
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